「うちの売上ならいくらまで融資してもらえるのか?」

売上の規模だけで融資の額が決まるわけではありませんが、売上はその会社の事業規模を表す指標ですから、一つの目安になるのは事実です。

すでに借入がある場合は、「現在の売上高に対し、借入額は適正か?」「あといくらまでなら借りられるか?」ということが気になるでしょう。

これから融資を申し込むのであれば、「借入の限度枠を知っておきたい」とお感じなのかもしれません。

そこでこの記事では、銀行融資と売上の関係について解説していきます。

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借入金月商倍率で安全度を測る

まずはじめに、売上の規模だけで融資額が決まるわけではないことに注意しましょう。

後述しますが、売上はあくまで目安の一つです。

売上で融資額を測るのに、「借入金月商倍率」という指標があります。

この指標は、借入金が月間売上高の何倍あるかを見て、借入の返済余力を測るためのものです。

・借入金月商倍率=借入金総額÷平均月商

業種にもよりますが、卸売業で月商の3か月分、製造業・小売業・サービス業で月商の6カ月分が借入金の上限の目安となります。

それ以上だと借り過ぎとなり、借入金月商倍率が8か月を超えると、銀行から改善策を求められ、年商を超えると新規の融資はむずかしくなります。

この借入金月商倍率で見た場合、売上の規模と融資額は関係ないことがわかります。

仮に、年商が1億5000万円、借入が3000万円の場合と、年商が15億円、借入が10億円の会社のケースで考えてみましょう。

<A社・年商が1億5000万円、借入が3000万円>

・月商:1億5000万円÷12か月=1250万円

・借入金月商倍率:3000万円÷1250万円=2.4倍

<B社・年商が15億円、借入が10億円>

・月商:15億円÷12か月=1億2500万円

・借入金月商倍率:10億円÷1億2500万円=8倍

B社の方がA社に比べ売上規模は10倍ありますが、銀行はB社の方が借り過ぎと判断します。

むしろB社は、借入金月商倍率が8倍もありますので、危険水域にあるくらいです。

銀行は売上の規模で融資額を決めているのではなく、「健全に返せる範囲か」でみているのです。

B社の場合でいえば、1億2500万円×3カ月=3億7500万円が正常範囲の借入額です。

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融資希望額を確保するためには複数の銀行と付き合っておく

上記の借入金月商倍率の計算でもわかるように、銀行には「売上に対しての借入枠」という考え方はありません。

信用保証協会の「保証枠」とは違いますので、誤解ないようにしておきましょう。

仮に先ほどのA社(年商1億5千万円、借入額3000万円)が、新規の事業用に同じ銀行に3000万円の融資をお願いしたとします。

この場合、借入金月商倍率は

・(既存借入3000万円+融資希望額3000万円)÷月商1250万円=4.8倍

となり、貸し過ぎという状態になってしまいます。

借入金月商倍率3カ月が安全ラインと考えるなら

・1250万円×3カ月=3750万円

で、追加の融資に応じられるのは、750万円(3750万円-既存の借入3000万円)まとなります。

残りの2250万円を確保するためには、他の銀行から融資を受けることを考えなくてはいけません。

銀行が融資額を決めるポイントは、「安全に返ってくるか」になりますので、一行のみのお付合いだとやがて限界がきてしまうのです。

そのため、複数の銀行とお付合いして、希望融資額を確保できるようにしておくことが大切になります。

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融資の審査と売上

とはいえ、売上は融資の審査の対象項目です。

直接融資額を決める要因ではないとはいえ、何も関係がないということではりません。

ここでは、売上が銀行からどう見られているかを把握しておきましょう。

銀行は企業の売上をどう見るか

最近では「売上より利益が大事」ということが浸透して、売上が下がっても利益を確保することが重要といわれています。

その意見に至極まっとう大賛成なのですが、銀行融資において「売上はどうでもいい」とはいきません。

融資の審査の際、間近3期分の売上の推移をみられることになります。

売上の推移が、右肩上がりやバラつきの少ない安定傾向にあればいいのですが、右肩下がりやバラつきが激しい場合は警戒されます。

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大事なのは売上より返済能力

ただし、売上が下がっても返済能力に問題がなければ大丈夫です。

銀行が重要視しているのは、借入金月商倍率でも説明したように、企業の返済能力です。

銀行が債務者区分を格付けするスコアリング評価でも、返済能力を測る指標は配点が高いです。

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売上が下がっても、返済が問題なくできることを証明できれば、焦る必要はありません。

売上が下がっても営業利益を確保する

では何をもって返済が問題ないとみなせるのか?その場合に使うのが「債務償還年数」という指標です。

債務償還年数は次の式で求めます。

・債務償還年数=借入(短期・長期の借入)÷(営業利益+減価償却費)

債務償還年数は、現在の借入の総額が、毎年稼ぎ出す利益の何年分にあたるかを求める指標です。

いい換えれば、本業の儲けで現在の借入を何年で返せるかということです。

業種にもよりますが、この数値が基本10年以内のときは、銀行は安全と判断します。

上記計算式からもわかるように、毎年稼ぎ出す利益が大きくなれば、債務償還年数は小さくなります。

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売上と利益の違い

そしてここからが大事ですが、利益と売上は別物です。

売上が大きくても営業利益の少ない企業もありますし、反対に売上が少なくても営業利益の多い会社もあります。

要するに、売上が下がっても、営業利益を確保できれば、債務償還年数は小さくなることがポイントです。

仮に3億の売上で、1億の借入、営業利益が1600万円と800万円の会社で考えてみましょう。※式をわかりやすくするため減価償却費はなしで計算

<営業利益1600万円の場合>

・1億円÷1600万円=6.25年

<営業利益800万円の場合>

・1億円÷800万円=12.5年

同じ3億円の売上でも、営業利益が大きい方は債務償還年数が10年以内で、安全エリアを保っています。

このケースでは、借入が1億5000万円までなら、債務償還年数を10年にすることができます。

その反対に営業利益が半分の800万円の場合は、安全域の10年を超えて警戒域に入っています。

こちらの場合は借入を8000万円まで少なくしなくするか、それとも営業利益を1000万円に増やすかしなくてはいけません。

このように、売上が減ったかどうかより、売上が減っても問題なく返せることが、銀行の最大の関心事なのです。

そのためには、やはり売上より利益を重視し、不必要に借入れが増えないようにしておくことが重要です。

銀行融資の決算書対策は「純資産額」と「営業利益」の改善から

売上が赤字なら銀行融資はどうなる?!

ここまでは売上が下がった場合の話です。

では売上が赤字の場合はどうなるでしょう?

一言で赤字といっても、赤字にも種類があります。

一時的な赤字の場合

企業経営をしていれば、その期だけ赤字ということがあります。

いわゆる一過性の赤字です。

新規事業を開始して初年度は赤字、役員が退職して大きな金額の退職金を支払った、災害で多額の損失を被ったといったケースです。

ここで重要なことは、今期は赤字になってしまったが、来期は黒字の見込みがあるとしっかり説明することです。

このとき、事業計画を作成して説明するようにします。

銀行の融資の審査を通す事業計画書の作り方

口頭で説明しても説得力はありません(根拠を数字で示すことが大事)。

ちなみに、在庫処分、貸倒損失、固定資産売却損など一時的な損失であれば、特別損失に区分を移して、なるべく経常利益が黒字になるようにしておきましょう。

【保存版】銀行が融資したくなる決算書の作り方

赤字が2期連続した場合

赤字が2期連続続いた場合は、慢性的な赤字傾向とみなされ、銀行の見る目は厳しくなります。

銀行は2期連続で赤字を出すと「融資はもう出さなくていい」と判断しますし、格付けも要注意先に落とされる可能性があります。

金融検査マニュアルにも2期連続の赤字は融資しなくてもいいと書かれているからです。

ただし、金融検査マニュアルの解釈は銀行それぞれで、対応が違うのです。

きびしくはなりますが、2期連続で赤字で融資は絶対に出ないということではないのです。

赤字決算でも銀行から融資を受ける方法 

とはいえ、売上こそ返済原資となる元なので、減収傾向にあるなら、少なくとも売上を保つ、保ちながらも営業利益は確保する、といった努力をしていかないと、資金調達は苦しくなること間違いないです。

なお、債務超過の場合は、基本アウトとなりますので、債務超過にだけはならないように気をつけましょう。

とはいえ債務超過でも絶対に融資は出ないというわけではありません。

債務超過でも銀行から融資を受ける秘訣とは?

まとめ

銀行融資と売上の関係について解説してきました。

ここまでお読みなっている方はご理解いただいていると思いますが、銀行が重視しているのは、売上ではなく「返済がきちんとできるか?」です。

けっして売上の規模で融資額が決められるわけではないのです。

売上が大きくても、借入の比率が高ければ、それは銀行にとって「危ない会社」なのです。

ですから、売上の大小を気にするよりも、「しっかり最後まで返せる」事業計画を立てることが大事なのです。

銀行の融資に対する売上の考え方を理解して、今後の資金調達に役立てましょう。

銀行に伝わる事業計画書の作り方


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