未払い費用・未払い金の計上は、期末決算のギリギリでも使える節税法です。

未払い費用・未払い金の計上とは、「今期に発生した費用で、支払が来期になって未払いのものを、当期の決算に計上する」というものです。

外注費や仕入代金は金額が大きいので、漏れなく計上されているでしょうが、金額の小さなものは見逃されているケースもあります。

小さな金額でも、チリも積もれば大きくなります。

しかも未払い費用・未払い金を使った節税は、追加のキャッシュアウトも伴わず、手軽に利用できるというメリッもあります。

期末の決算対策で、ぜひとも使っておきたい節税法です。

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未払い費用・未払い金とは

未払い費用とは、営業活動以外で「一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対していまだその対価の支払が終わらないもの」をいいます。

何のことやらよくわからない説明ですが、かみ砕くと「継続的な取引で生じた支払い義務のある費用があるものの、決算日までに支払日が到来してないもの」のことです。

ポイントは「継続的」というところです。

一方未払い金とは、営業活動以外で「特定の契約等により既に確定している債務のうち、未だその支払いが終わらないもの」となります。

要するにこれは、「1回限り」ということです。

まとめると、

  • 継続的に受けるサービスを未払い費用
  • 単発で受けるサービスを未払い金

となります。

ちなみにこれは、会計上の区分です。

税務上では、未払い費用と未払い金の厳密な区分はされていません。

未払い費用に分けられるもの

利息、給与、リース料、賃借料、社会保険料など

未払い金に分けられるもの

事務用消耗品、広告費、交際費など

損金として計上できる条件

会計上では、未払い費用と未払い金は上記の通り区別されます。

しかし税務上では厳密に区別されているわけでなく、今期の損金に計上できるには「債務が確定していること」が条件になります。

債務が確定しているかどうかは次の3つがポイントです。

  1. 期末までに支払い義務が確定していること
  2. 実際に期末までに発生している費用であること
  3. 金額を合理的に算定できること

以上の3つを満たしていれば、今期の損金として計上することができます。

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従業員の給与、賞与を未払い費用として計上

未払い費用の計上は、従業員の給与・賞与に対しても使えます。

仮に3月決算の会社で、毎月の給料が25日締の10日払いだった場合、3月26日~3月31日までの給与を日割り計算して未払い費用として当期に計上できます。

日当1万円の従業員が10人いるなら

・1万円×10人×6日=60万円

と結構な額になります。

ただし役員の給与は、日割りという考え方はありませんので、未払い計上ができません(役員の給与は会社との委任契約に基づくもののため)。

さらに、会社に利益が出た場合の決算賞与を出す予定があれば、次の条件を満たすことで、こちらも未払い費用として計上できます。

  • 期末日までに従業員全員に賞与の支給額を通知していること(書面が望ましい)。
  • 通知した事業年度の末日の翌日から1ヵ月以内に賞与を支給すること(3月決算なら4月1から1カ月以内)
  • 通知日の属する事業年度で損金経理すること

なお賞与の場合も、役員には認められないケースもありますので、支給するのであれば管轄の税務署や顧問の税理士の先生に確認しましょう。

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社会保険料も対象

社会保険料も未払い費用の計上ができます。

社会保険料は労使折半です。

このとき、

  1. 従業員個人が負担する社会保険料は、給料から天引きして一旦会社が預かる
  2. 会社負担分は月末に未払い費用として計上する
  3. その合計額を年金事務所に納付する

という流れになります。

要は会社負担分の社会保険料は、未払い費用として処理しても大丈夫なのです。

未払い計上できる理由は、「保険料の対象となった月に納付義務が確定している」からです。

しかし中には、会社負担分の社会保険料を、実際に支払った月に損金算入しているケースがあります。

未払い費用の計上は、あくまで課税の繰延べ効果しかありませんが、社会保険料の負担は大きく、従業員が多ければその額はまとまったものになります。

未払い費用として当期に計上することを検討してみるのも方法です。

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お金の出ていかない節税

節税をするなら、最初に考えたいのが「お金の出ていかない節税」です。

節税は利益を減らすことが基本なので、余計なキャッシュアウトが伴うパターンが多いです。

しかし「未払い費用の計上」には、追加のキャッシュアウトは生じません。

繰延べ効果しかないとはいえ、その点が前払費用を使った節税とは違う点です。

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未払い費用・未払い金の注意点

未払い費用・未払い金を期末の決算対策として節税に使うには、継続性が大事になります。

つまり、一度未払い費用・未払い金の科目を利用したら、翌年も同じ会計処理をしないといけないということです。

儲かった年だけ利用しようというのは認めてもらえないのです。

この点は気をつけましょう。

未払い費用・未払い金の節税以外のメリット

未払い費用・未払い金の計上には、節税以外でもメリットがあります。

管理会計という点から見ると、当期に発生した費用を当期で経理処理するのは、実情に合った方法です。

今年いくら利益が出たのか、正確に把握できるからです。

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また、未払い費用・未払い金を、勘定科目の「買掛金」と仕分けしておくことも経営上の問題発見に役立ちます。

未払い費用も未払い金も掛けの購入あることに変わりませんが、買掛金と違うところは、営業外で発生した費用であることです。

買掛金は営業上の取引先との買掛取引の額になり、未払い費用・未払い金とは買掛の意味合いが違ってきます。

仮に同じ買掛金で処理してしまうと、営業上の取引先の買掛期間を正確に把握することができません。

これは資金繰りに深く影響してくることです。

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それに未払い費用・未払金を買掛金と一緒にしてしまうと、買掛金が膨らんでしまいます。

それにより、財務指標の流動性比率が低くなってしまいます。

流動性比率は銀行融資のスコリングの評価対象なので、数値が悪くなるのは資金調達にとってマイナスです。

銀行融資の8割が決まる「信用格付け(スコアリング)」を制する方法

会社の状態をきちんと把握するために、きっちり仕分けしておきましょう。

まとめ

未払い費用・未払い金は、一つ一つの金額は小さいかもしれませんが、まとめると大きな金額になるかもしれません。

知らなかった、忘れていたでは、節税できていたものもできなくなります。

もちろん未払い費用・未払い金とも、課税の繰延べ効果しかありませんが、追加のキャッシュアウトを生じないという点ではメリットのある節税です。

小さいものもコツコツ集めて計上しておきましょう。


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