売上げが下がったとき、その原因が何にあるかを分析しておくことは大事です。

売上げに影響している要因には大小があり、小さな影響力しかないものに、多大な労力を費やしても、その効果は限定的で、費用倒れで終わってしまう可能性があるからです。

大きな影響のあるものを改善できれば、売上の回復もその影響度に応じて大きくなります。

そこで見るのが、立地による売上の影響力です。

実は、売上に対して、立地7割、商品・サービス3割といわれるくらい、立地の影響は大きいのです。

コンセプト磨くことも大事ですが、立地から売上を考えてみるのも、売上対策としては有効です。

店舗の売上を構成している6つの要素

店舗の出店に際し、「売上げ予測モデル」を使って、店舗の売上を予測する方法があります。

その中に「インストアJモデル」と呼ばれるものがあります。

これを簡単にいうと、店舗の売上を構成している要素は、大きくいって6つしかなく、100%とはいわないまでも、その6つで売上を説明できるというものです。

6つの要素と、売上への影響度合いは次の通りです。

  1. 立地評価:31.1%
  2. 直前交通量:6.8%
  3. 商圏人口:9.6%
  4. マーケットの質評価12.7%
  5. マーケットサイズ(飲食店年間販売額など):24.3%
  6. 営業時間:15.5%

引用元:これが「繁盛立地」だ!

意外なことに、直前通行量と商圏人口は足しても、売上に対して16.4%しか影響していません。

それよりも、立地評価やマーケットサイズの方が、影響が大きいことがわかります。

立地評価とは次の4つをいいます。

動線評価

動線評価とは、TG(交通発生源:駅、交差点、商業施設など)から発生する人の流れのことです。この動線上にお店があると、人から認知される可能性が高く、人を呼び込みやすいといえます。

視界性評価

視界性とは、「お店が良く見える(認識できる)」ことを指します。お店の存在が認識されなければ、人はそのお店に行くことはできません。お店を認識できるとは、来店に直結する重要な要素です。

面積評価

広ろければ良いとはいいませんが、面積が広ければ、それだけお客様の人数を増やすことができます。座席数が50と100では、許容量が違うわけですから、必然的に売上に差がつきます(利益は別ですが)。

間口評価

間口の広いお店は人の目に止まりやすく、それだけ視界性が高まるということです。また、間口が開放的なお店は、入りやすさも演出できます。

競合店の売上に対する影響力を計測する方法

売上高を予測する「インストアJモデル」には、「競合店」という要因がありません。

それは、競合の存在が、一概にマイナスだけとはいえないからです。

しかし、売上が下がれば、真っ先に疑うのは競合店の存在です。

では、競合店は売上にどう影響するのでしょう?

競合はプラスの存在でもある

まずはじめに、競合店は良きにつけ悪きにつけ、売上に影響してきます。

競合が進出することで、

  • これまでにない客層が入って来る(男性客ばかりだったのが女性客も増える)
  • 商圏が拡大する(3km圏内が5kmになるなど)
  • 訪問回数が増える(回転寿司の近くに他の飲食店が参入することで、その地域に訪れる回数が増える)

などが起こり、あながち、マイナス要因ばかりではありません。

一般的に、店舗数と市場拡大率は比例するといわれています。

1店舗増えるごとに、平方根分だけ市場も増えるのです。

仮に商圏内に2店舗の場合は、√2=1.4倍

3店舗に増えると、√3=1.7倍

10店舗に増えると、√10=3.2倍

という感じです。

たくさん店舗が集まる地域は、それだけ人の流入も見込めるということです(当然ながら集まっていても廃れてしまう商店街もあります)。

マーケット規模で見る競合の影響度

都会のような出店地域のマーケット規模が大きい場合、競合の出店の影響は小さくなります。

人の流入が多い分、競合が増えてもそのパイを埋めるだけの流入量があるからです。

それがマーケット規模の小さな地域だと、反対に影響は大きくなります。

同じ商圏内に同業が進出してくれば、人の流入量の少ないエリアを競合と争うことになり、必然的に売上に影響を受けます。

競合とエリアが重なっても「立地特性」が影響してくる

ただし、競合店とエリアが重なっても、影響がない場合があります。

それが、大きな幹線道路を挟んで目の前にオープンのようなケースです。

道路が間に入ることで、エリアが分断されるからです。

道路に限らず、物理的分断がある場合は、商圏が別になることもあるのです。

マーケットの規模、競合の出店位置によって、影響度合いは変わります。

競業調査の前に自店の状況を観察する

同業が同じ商圏内にあるからといって、即、それが売上減の原因とはいえません。

その前に自店の置かれている状況を冷静に観察しましょう。

立地評価から考える売上減の原因
  • 遮蔽物などによってお店自体の視界性が悪くなってないか?
  • 看板が目立たなくなってないか?
  • 道路や大型施設ができ、人の生活行動パターンに変化が起きてないか?
  • 季節の変動(季節指数)を受けてないか?

競合店との立地の比較

次に、競合店との立地の比較についてです。

自店が立地の影響を受けるということは、相手方も当然立地の影響を受けるということです。

競合店舗の方が立地上アドバンテージがあるなら、その分自店の売上が下がってもおかしくありません。

逆にいえば、自店が立地上有利にもかかわらず、競合店の方が集客力が高いということは、それ以外の原因(販促や他店との差別化など)が大きく関係しているといえます。

  • 駅などのTG(交通発生源)にどれだけ近いか?
  • 大型小売店の出入り口(TG)にどちらが近いか?
  • 人の流れの動線上にお店があるか?または、その動線からお店が見えるか?
  • 店舗は何階か?
  • 間口の広さはどうか?

立地による影響度

お店の立地による影響度は次の通りです。

「視界性」や「入りやすさ」を改善するだけでも、お客様の入店率増加を見込めます。

  • 営業階が2階にある場合、1階よりも来店率が13%ダウン。
  • 営業階が地下1階にある場合、1位に比べて来店率が20%ダウン。
  • 店舗の視界性が格段に向上した場合、来店増加率は5%~20%増。
  • 狭くい間口を広くして入りやすくした場合、来店率は0%~20%増。

このように置かれた状況で、集客力に差がついてきます。

階層による立地指数

ちなみに、店舗がお店をかまえる階数の来店率は以下の通りです。

1回を100%とした場合

  • 2階:87%
  • 3階:61%
  • 4階:47%
  • 地下1階:80%

引用元:これが「繁盛立地」だ!

この階層による来店指数は、あくまで来店率のみです。

この視界性が加わると、さらに悪くなる可能性があります(看板がよくわからない、などでお店の位置を確認できない)。

売上は立地で7割決まる

売上に対する影響力は、立地7割、商品・サービス3割といわれています。

お店の売上は、実は出店した時点で7割は決まっているのです。

もちろん、それだけでビジネスが決まるほど単純なわけではありませんし、接客やアイデア、営業力で挽回できる面もあるでしょう。

しかし、立地の影響が7割あることを考えれば、その存在を無視していいわけにはいきません。

週刊ダイヤモンドの「店・施設・会社などの選択の重視点」というアンケートによれば、長年首位を保っているのは、「利用に便利な場所にある」です。

移転は容易にはできませんが、視界性や間口、入りやすさなどは、工夫次第で改善できます。

できる範囲でしっかり対策をとり、競合に負けないポイントをたくさん作っておくことが大切です。

自分の商圏を正確に把握するためにはリストが重要

自分の商圏を把握することは、

  • 競合店による売上の影響を測るため
  • 商業施設やTG(交通発生源)の新設による人の流れの変化

などを計測するために必要ということはお話してきた通りです。

仮に競合店がご近所に進出してきた場合どうでしょう?

商圏を200mと仮定するなら

同業進出による市場拡大率:√2=1.4倍

1.4÷2店舗=0.7

つまり、30%の売上減になる可能性があるということです。

30%減にならないなら、それは現時点で、自店の方が比較して優位であるわけですが、同業が力をつけてくれば、売上が30%落ちてもおかしくないと考えるべきです。

このような予測を立てるためには、自店のお客様のリストが必要です。

お店のお客様がどこから来ているか、その住所録を集めておくことで、商圏がどこまでの範囲か知ることができます。

その地域に同業が進出してきたら、その同業と何%くらい商圏が重複するかを推測し、その結果、売上に対する影響力を測れます。

また、お客様の分布図を作っておくことで、相性の良い地域もわかります。

そうすれば、その地域を狙って広告を重点的に撒くこともできます。

そういった基本戦略の元となるのが、お客様のリストです。

リピートを促す販促に使うだけでは、使い方が足りません。

「専門化」して他店と差別化することの罠

集客を成立させるためには、ある程度の見込み客の数が必要になります。

それは、ニッチジャンルといわれる、細分化された分野でも同じです。

都会のニッチと田舎のニッチでは商圏内の見込み客数が違います。

ニッチや専門化する場合、ここを冷静に計算しないと後々苦戦することになります。

ジャンルを細分化すると選ばれる

市場規模が大きい分野は、見込み客が多く居る分、同業者も比例して多く集まります。

こういったライバルが多い市場では、皆と同じことやってても淘汰される可能性が高くなりますので、生き残るために異分子が生まれます。

それが、「ジャンルの細分化」です。

たとえば客層を絞ることで

  • 30代婚活中の女性
  • 薄毛に悩む40代男性
  • 20代子育て中の奥様

といった感じでジャンルを細分化し、他との違いを出すこともできます。

対象となる人が上記の文章を読めば、心をドキュンと撃ち抜かれます。

またこれに専門をつければ

  • 30代婚活中の女性専門
  • 薄毛に悩む40代男性専門
  • 20代子育て中の奥様専門

という特定の分野に非常に強い印象を与えることができます。

この「専門」をつけるメリットは、特定の分野の人に選ばれやすくなるのもありますが、それ以外にも、悩みが深い人、本気の人ほど「専門」というキーワードに反応しやすいという傾向があります。

「本気で治したいから、どうせならその筋の専門化に任せたい」こんな心理が働きます。

「専門化」が成立するには条件がある

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ジャンルの細分化の仕方は様々ですが、要は「他(同業者)と違いますよ」と訴えることです。

わたしも含めて素人の消費者にはその方がよくわかります。

ジャンルを細分化していき、市場でオンリーワンになって「選ばれやすくなる」というのはいいのですが、専門化していくことも立地が違えば成立しないこともあります。

要するに、人口密度の高い都会で「○○専門で成功した」からといって、それがそのままあなたがビジネスをしている地域でも、同じように成立するとは限らないのです。

たとえばフレンチレストランです。

都会では同じ1km圏内でも人が集まっている分、フレンチを求める人の数も多くなります。

しかし田舎では、そもそもの人口が都会に比べ少なく、それに比例してフレンチを求める人も少なくなります。

仮に都会で1kmの商圏内に人口が1万人いたとします。

そこからフレンチを求める人が1%として、商圏内に100人の見込み客がいることになります。

ここから10%がお客様になっていただける仮定すれば、10人がお客様になっていただけます。

それに対し田舎では、1kmの商圏内に1000人しかいないとします。

その中にフレンチを食べたい人が同じく1%だとしたら、たった10人しか見込み客はいない計算です。

その10人から1人がお客様になっていただけても商売が成立しません。

上記は極端な例ですが、もとからある市場規模が小さければ、その規模に合った商売しか成立しないでしょう。

これでは売上が安定しません(するかもしれませんが常に不安定です)

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さらにニッチなジャンルは「リピート」にも大きく関係してきます。

たとえば、カレー専門店とベトナム料理専門です。

この2つを比べた場合、見込み客数は圧倒的に前者の方が多いです。

ベトナム料理だって最初は物珍しく食べてくれるかもしれませんが、毎度毎度食べたいかとなると、カレーほど頻繁に食べたくなるわけじゃないでしょう。

そうなると、ベトナム料理に専門化しても、リピートの見込みが立ちにくいことがわかります。

専門化するにしても、

  • ある程度の見込み客数がいる
  • その見込み客が支持してくれる商品・サービスである

で専門化しないと、そうそうに行き詰ってしまうということです。

インターネットや都会のように、競争相手がたくさんいる市場なら、専門化の意味も出てきますが、市場規模が小さいところで専門化しても、返ってマイナスしかありません。

人口の少ない地域の場合、ジャンルを細分化し過ぎるとそもそも見込み客の数が少なくなるので、市場として成立しない可能性が高いです。

商圏の限られている店舗ビジネスならなおさらです。

フェイスブックやツイッター集客の前に、まずは店頭ボードでしょう。

ちなみに店頭に置くブラックボードは超強力な集客ツールです。

お店の存在をお客様に知らせ、そして誘導するときには、ブラックボードが強力な販促ツールとなります。

買い物する人の9割は何を買うか決めてないといいます。

人間がいかに気まぐれな生き物かよくわかる数字です。

それと同じようにお店選びだって人は気まぐれです。

当初の目的のお店には行かず、別のお店に行くことだってありますし、買い物ついでに2軒目のお店に入ることだってあるでしょう。

で、そのときに有効なのが、お店の前に置くブラックボードです。

たまたま通りかかったお店の前で、置いてあるブラックボードに興味を持ち、つい入ってしまった、そんな経験の一度や二度、あなたにだってあるはずです。

販促物の反応と人との距離は密接な関係があって、人の距離が近くなるほど反応がよくなる傾向があります。

ブラックボードはその最たる例で、通行人に対して強力な働きかけをします。

たとえばチラシなら、「何となく気になった」では、なかなか問合せなどの行動に移してもらえません。

しかし店頭ボードなら、「見て気になった。ちょっと入ってみようかな」とすぐに行動に移してもらえます。

要するに、店頭にブラックボードを置いてないだけで、見えない機会損失を起こしているのです。

一番見込みの高いお客様を逃していることには気づかず、来るのか来ないのかわからない、フェイスブックやツイッター経由の人をお客様にしようとするなんてナンセンスとしかいいようがないです。

いったいその人たちは、どこに住む人なのでしょう?

お店から車で1時間もかかるようなところに住むんでる人たちが、時間をかけてわざわざやって来ますか?

ましてやリピートとなると、限りなく可能性は低いでしょう。

それなら、お店の前を歩いている人を集客したほうがよっぽどいいです。

 

店頭ボードで集客するコツとは?

ただし、店頭ボードは存在を認識されないと意味はありません。

記憶にないものは存在しないと同じ、認識されなければ、「出してない」と一緒なのです。

店前A型看板にお客様に気づいていただくためには、「目立つ」ことが重要です。

看板の枠にとらわれないで、

  • 写真(スタッフの顔写真、お客様とのツーショット、メニューの写真)を枠外に貼る
  • 矢印を切り出して看板につける(お店はこのビルの3階など)
  • 特大クーポン券をつける

など、とにかく「目立つ」ことを意識しましょう。

看板は、目だって何ぼ、このことを忘れないでください。

まとめ

出店してしまったお店は、そう簡単に移転することはできませんが、自店の立地環境を分析することは大切です。

売上アップの対策といえば、チラシやホームページのマーケティングノウハウ、他店との差別化を打ち出すUSPやブランディング戦略、スタッフの営業力といったものに注目しがちですが、実はそれよりも、身近な立地環境こそが大きな原因だったりします。

マーケティングやブランディングを一生懸命やっても、効果を得られてないのであれば、それは立地が影響しているかもしれません。

立地評価がプラスになるよう、対策を取りましょう。

売上げ減の原因が大きな影響力のあるものほど、そこが改善すれば回復も早くなります。

売上が下がってきたら、立地を分析してみましょう。

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