売掛金の集金は順調なときは良いですが、支払いが滞り出すと問題です。
焦付きが小さければ問題ないですが、大きな売掛が未回収にでもなれば、自社の資金繰りを直撃し、最悪、連鎖倒産を引き起こします。
経営者であれば、売掛金の集金はどうやったってシビアになります。
ただし、債権回収においては、裁判までいってしまうことは、最悪の方法です。
たとえ勝訴したとしても、回収できるとは限らないのです。
売掛の集金は、その前でどれだけ回収するかがカギになります。
そこで、売掛金を確実に集金する基本的なポイントについて、まとめてみました。
売掛金集金の基本心得
債務者の支払い能力はあるか?
まず基本的なことですが、債務者に支払う意思があっても、支払い能力がないと売掛金は回収できません。
支払い能力とは、お金のことです。
無い袖は振れないということわざがあるように、お金がない人を責め立てて集金しようとしても、それは土台無理な話なのです。
行き過ぎた取り立ては、犯罪になる可能性もあります。
もし現時点で支払い能力がなければ、今後の収入で支払い可能かを検討しなくてはいけません。
債務者に支払う意思はあるか?
支払い能力があっても、債務者に支払う意思がなければ、売掛金回収も困難になります。
どこかで売掛金を踏み倒そうとしている人は、やはり債権者側の支払えという圧力が必要です。
債務者側の能力と意思、この2つが揃ってはじめて売掛金は集金することができます。
ただし、この2つは日によって変動するものです。
今は支払うお金がなくとも、これからの仕事の状況によっては、新たな収入を得ることができるかもしれません。
反対に、売掛金を支払う意思があった人でも、その後の状況変化によっては、その意思をなくしてしまうかもしれまないのです。
したがって、債権者側の対策も、その状況に合わせて変えていくべきものです。
今がダメだから、今後もダメと決めつけてしまうのは、得策とはいえません。
柔軟に対応しましょう。
売掛集金の基本知識
売掛金には時効がある
売掛金には時効があります。
お金を踏み倒そうとしているのに時効があるとは何ともけしからん話ですが、法律の建前には「権利の上に眠る者は救済しない」という原則があります。
請求できるのに知らん顔してたんだから、救済されないのも当たり前でしょ、という話です。
代表的な債権の時効は次の通りです。
- 一般の民事債権:10年
- 一般の商事債権:5年
- 売掛債権:2年
- 工事請負代金債権:3年
- 運送代金:1年
売掛金の時効は2年しかありません。
売掛金の請求をしてから2年を経過すると、時効により売掛金の請求権は消滅してしまいますから、注意が必要です。
時効の中断を利用する
時効の進行をストップさせるには、「時効の中断」を行います。
時効の中断の方法には次の3つがあります。
1・請求
請求には、「裁判上の請求」と「裁判外の請求」の2つがあります。
一般的に行われるのは、裁判外の請求です。
ただしこれは、時効の完成を6カ月遅らせる効果しかありません。
それでも、請求を受取った受取ってないで揉めないためには、内容証明郵便で請求することが望ましいです。
2・差押え
差押え、仮差押え、仮処分などの手続きがあります。
裁判所での手続きとなります。
3・承認
承認は、債務者が10万円の売掛金のうち、1000円でも支払ってくれれば、これも承認とみなされます。
また、「債務確認書」を取る方法もあります。
これは「債務があることを認める」確認書ですので、債務が消滅時効になることを防げます。
売掛金焦付き防止策
与信限度額の設定
売掛金の焦げ付きは、売上が拡大するほどそのリスクが高まります。
それを回避する方法の一つに「与信限度額」の設定があります。
たとえば、新規取引は信用がないため与信枠は低く設定、その反対に業績の良い会社は、与信枠を高めに設定などです。
与信限度額とは、その取引先に売ってもいい最大額のことです。
この与信限度額は、相手方の支払能力だけでなく、自社の与信許容額(この取引相手なら、この金額までなら許容できるという額)で決まります。
つまり、どれだけ取引先の支払い能力が高くても、自社のキャパを超える額は売ってはいけないということです(万が一焦げ付いたとき、倒産するほどの大ダメージを受ける可能性があるため)。
与信限度額を管理する
与信限度額を超えそうなときは、超えた部分を現金取引にしてもらったり、売掛の一部を先行して支払ってもらったりなど、限度額内に売掛金が収まる管理の仕方が必要です。
これらの条件は、取引前、契約書に盛り込んで交わしておけば、管理運用しやすくなります。
そして与信限度額は、一定期間経過後は必ず見直すことが重要です。
どの会社も経営状態は一定でなく、刻々と変化しています。
与信限度額も、それに合わせる必要があります。
契約書を作っておく
売掛金の回収をスムーズにするには、契約書を作っておくことが有効な方法です。
契約書を作る利点は
- 問題(争い)を未然に防止できる
- 万一問題が発生してしまった場合でも可能な限り早期に解決する重要な道具になる
の2点です。
いくら督促をしても支払ってくれないときは、契約書を証拠として、交渉を有利に進めることができます。
文書で残しておけば、いったいわない、約束したしてないなどの、不毛な水掛け論をしなくて済みます。
また、裁判となったときは、契約書は裁判官も重要証拠として扱いますので、早期に勝訴判決を獲得でき、問題を解決に導けます。
売掛金回収を優位に進める交渉術
売掛金回収において裁判までいってしまうのは、得策ではありません。
多大な費用と労力をかけても、売掛金を回収できる保証はないからです。
裁判は回収のための最終手段です。
その前の交渉で回収できるなら、それに越したことはないのです。
とはいえ、相手も支払いが苦しかったり、最初から支払う気がなかったりで、すんなり支払ってくれるとは限りません。
やはり、債務者に「支払う気を起こさせる」ことが肝心です。
優先順位を上げさせる
売掛債権の早期回収を計るには、債務者にとってあなたという存在の、優先順位を上げさせることがポイントになります。
要するに、「支払が遅れると面倒になる奴」というふうに思わせることが大事なのです。
もしあなたが債務者で支払に詰まった場合、督促の緩い方とキツい方では、どちらの支払いを優先させますか?ということです。
毎日強めの督促の電話をしてくる、日によっては2度3度、片や1週間に一回、優しい口調で支払いを促す。
会社にも面会を求めて1カ月に何度もやって来る、片や強めの口調で対応したら途端に弱気になって1カ月に1回程度しか督促に来ない。
支払が詰まってくると、やはり面倒くさい相手から返済してしまおうと思うのが人情です。
だからこそ、支払の優先順位を上げさせておくのが大事なのです。
もちろん、支払いが詰まってからではなく、普段から口うるさい取引先だと思わせおくのが重要です。
そのためには、
- 毎月きちんと請求書を送って、請求漏れがないようにする。
- 指定された日時には、遅れず必ず集金に向かう。
- 入金遅れを確認したら、すぐに督促を行う
- 督促を行う際は、今支払ができないなら、何日の何時に集金可能か(または入金可能か)を確認する
- 支払がない場合は取引を中止する姿勢を見せる
などを行う必要があります。
「舐められたら終わり」、わたしはそう教わりました。
債務者へのプレッシャーの掛け方
プレッシャーの掛け方は、自分が「やれたら嫌だ」ということを行うことが基本です。
断っておきますが、犯罪行為にならないよう気をつけましょう。
電話を掛ける
社長の携帯や会社の電話は元より、相手の自宅にかけることも一つの方法です。
自宅にかける場合は、相手に直接つながらなくても問題はありません。
狙いはそこでなく、家族から「〇〇さん(あなた)から電話があった」と伝わることです。
家族に会社の状態を話してない場合はもちろん、仮にお子さんからでも伝われば、それは相当のプレッシャーになります(不倫ドラマと同じですね)。
ハガキ・FAX・メール
ハガキ・FAX・メールなどの飛び道具も心理的プレッシャーを与えることができます。
もしFAXに、「督促状」などとデカデカと書かれたFAX用紙が流れてくれば、従業員にでも見られたら非常に気まずくなります。
ただ、FAXやメールは、迷惑メールや迷惑番号に指定されてしまえば、流しても意味なくなりますので、ハガキと複合して使うのも方法です。
飛び道具は一つ一つは効果は少なくても、じわりじわりと相手の心をむしばんでいくことができます。
訪問する
電話による督促と同時に、訪問も行います。
時と場合によっては、夜討ち朝駆けを行うことも検討します。
朝一で会社に債権者が現れたら、社員も良からぬことが起こっていると察知しますし、何より士気に影響します。
社長も妥協案を提案してくるかもしれません。
そして会社はもちろん、自宅への訪問もされたら、債務者のプレッシャーはマックスに向かいます。
この場合も目的は、債務者に直接会うことではなく、家族から「○○さんという方が昼間来ていたよ」と伝えてもらうことです。
非常に嫌味な人間で、こんな方法はしたくないでしょうが、自分の会社へのダメージを考えたら躊躇してられません。
犯罪にならないよう気をつける
相手が憎くく、勢い余って犯罪になるようなことは避けましょう。
支払をしないからといって、SNSで悪評をまき散らすと、名誉棄損になるかもしれません。
あるいは、貸金業者ではないからといって、深夜の二時に債務者の自宅に押し掛けて、玄関前で「金を返せ」激しく騒げば、いやがらせと見られ、脅迫罪になるかもしれません。
また、反社会勢力に取り立てを依頼することもご法度です。
そんなことをすれば、そのときは回収に成功したとしても、依頼したという事実で、逆に反社会勢力に脅されるかもしれません。
売掛金回収は、ルールに則って、犯罪にならないようきちんと線引きをしておきましょう。
売掛を集金する具体的な4つの方法
その1・内容証明郵便
段階的にプレッシャーをかけるには、内容証明郵便を出すのも方法です。
内容証明郵便とは、公的な機関である郵便局が、「どんな内容の手紙」を出したかを公に証明してくれるものです。
さらに、配達証明書付きの内容証明郵便を使うと、「どのような内容の手紙」に加え、「いつ」配達されたかも証明してくれます。
内容証明郵便だけだと、それがいつ相手に届いたかまでは証明してくれません。
民法では、意思表示の通知は相手方に届いたときとしています。
ですので、いつ届いたかを証明してくれる、「配達証明書付き」は大事なのです。
これにより、「手紙を受け取ってない」や「そんな内容ではなかった」などの、言いわけを封じ込めることができます。
また、内容証明郵便には、法的な強制力はありませんが、もらった方はただならぬ雰囲気に、「このままいくと法律的な手段に出るのでは?」と心理的圧力を感じます。
要するに、内容証明郵便がある種の脅しになるわけです。
内容証明郵便の書き方
内容証明郵便には書き方のルールがあります。
- 縦書きの場合:一行20字以内、一枚26行以内。
- 横書きの場合:一行13字以内、一枚40行以内。または一行26字以内、一枚20行以内
つまり、1枚の紙にかける文字数は、520文字までということです。
文章が長くなり、2枚以上に書く場合は、ホッチキスやノリで綴じ、そのつなぎ目に差出人のハンコを押します。
ハンコは三文判でかまいません。
内容証明郵便の詳しい書き方はこちら(郵便局サイト)
内容証明郵便は、同文のものを3通用意します。
そのとき、差出人、受取人の住所氏名を書いた封筒を受取人の数だけ持って、郵便局の窓口で手続きします。
その2・相殺
相殺(そうさい)は、簡単かつ強力な売掛の回収手段です。
相殺は、債権者と債務者とが、お互い債権を持っている場合に、一方の意思表示によって、対等額だけ双方の債権を消滅させる行為をいいます。
たとえば、債権者が債務者に10万円の債権を有していました。
債務者は何だかんだとゴネて、10万円を支払おうとしません。
支払う気のない相手から、売掛金を回収することほど、むずかしいことはありません。
しかしです。
ここで債権者が債務者に対して10万円の債務を負っていた場合、手紙1通でその債務を回収することができるのです。
「こちらも支払うはずの10万円があるので、それで帳消し(相殺)ね」という話です。
相殺ができるための条件
- 相殺を行うには、次の条件が必要です。
- 債権者と債務者とが、お互いに同種の債権を持っていること
- 相殺の禁止されてない債権であること
- 双方の債権が相殺できる状態にあること
何でも相殺できるわけでないことに注意しましょう。
また、後でもめないよう、内容証明郵便(できれば配達証明書付き)で通知するのが一般的です。
その3・代物弁済
売掛金の回収は、必ずしもその債権から回収しなくてはいけないというわけではありません。
債権と同価値の物を債務者が持っているのであれば、それをもらって代金の回収とする解決方法もあります。
それを代物弁済といいます。
代物弁済は、不動産、動産、債権(第三者に対する貸付金など)も代物弁済における資産の対象になります。
ただし、代物弁済を行うには次の条件があります。
- 当事者間に既存の債務が存在すること
- 本来的に負担していた給付とは異なる給付が現実的になされること(異なる給付とは、お金の代わりに車をあてがうことなど)
- 弁済に代えてなされること
- 債務者の承諾があること
その4・債権譲渡
債権者が保有する債務を、第三者に有償・無償で譲渡して回収する方法があります。
これを、「債権譲渡」といいます。
たとえば、100万円の債権を持っているAがいたとします。
しかし、債務者Bはいくら督促しても支払ってくれません。
そうなると債権者Aは、「1円も回収できないなら、この債権を安くしても誰かに売ってしまった方がいい」と考えます。
そこで100万円の債権を、70万円でCに債権譲渡したとします。
すると100万円の債権は、新しい債権者Cに移り、債務者Bに請求することになります。
現実的にいって、金払いの悪いBへの債権を、安くなるからと買い手が現れるかは疑問ですが、債務者Bの支払能力に応じて、譲渡価格は決まります。
債権譲渡を引き受ける会社もある
このようなスキームを利用して、債権回収をする会社をサービサーといいます。
債権譲渡を行うには、債権者と新・債権者との間で合意した上で、債権者から債務者に対して、債権譲渡通知書を内容証明郵便で送れば、債権の移転が完了します。
ただし、譲渡禁止特約がついている債権は譲渡できません。
債権譲渡の応用編
上述の債権譲渡の応用編として、債権の譲渡先を債務者Bと取引のある人を選ぶ方法があります。
つまり、新債権者Cは、買い取った債権を、負債と相殺してしまうわけです。
新債権者Cは、旧債権者Aから安く買取れば、それだけ儲けにになりますし、債権者Aも回収不能のリスクが下がった分、債権を高く売ることができます。
そういう意味でも、債務者がどんな取引先とビジネスをしているかを知ることは、回収の可能性を上げるために、とても大事なことです。
公的機関を使って売掛金を回収する方法
公正証書
公正証書とは、公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。
公証人とは、裁判官や検察官、法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門家であり、準公務員という扱いになります。
公正証書が利用される最大の理由は、その「執行力」です。
たとえば金銭債務において、「強制執行認諾条項」を定めておけば、支払いが滞ったときは、口座の差押などの「強制執行」の申立を直ちに行えます。
本来このような行為は、裁判の確定判決を受けてからでないとできないので、その効力の強さがわかります。
商取引で公正証書を交わすのはむずかしいかもしれませんが、あれば回収の強力な手段となります。
支払督促
裁判所が債務者に対し、これこれの債権(金銭、有価証券、その他代替物の給付に係る請求)について、支払督促を出してくれるよう申し立てる制度があります。
それを「支払督促」といいます。
・支払督促
申立書を受けた裁判所は、申立書の書面の審査を行い、問題がなければ支払督促を債務者に出してくれます。
もし債務者が2週間以内に異議申し立てをしなければ、裁判所は,債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言が付与されます。
債権者はこれに基づいて、強制執行の申立てをすることができます。
支払督促が出されたのに、仮執行宣言の申立てをしないで30日が経過すると、裁判所から発せられた支払督促の効力はなくなります。
また、債務者が、支払督促を受けてから2週間以内に異議申し立てを行うと、通常の訴訟に移行することになります。
民事調停
訴訟をしたくない場合には、民事調停という方法があります。
調停はあくまで話し合いの場です。
結論を強制されることもなく、話し合いが不調に終われば、手続きも終了です。
民事調停について詳しくは
少額訴訟
60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについては、「少額訴訟制度」があります。
原則1回で審理が終わり、その日のうちに判決がおり、弁護士に依頼しなくても訴えを起こすことができます。
ただし対象は、金銭債務に限られます。
家屋の受け渡しや離婚の請求などの事件は認められません。
また、1日で終わらせる関係上、証拠や証人に制約がつくことに注意が必要です。
結論。
少額訴訟は、60万円以下の請求で、弁護士を立てずに早期に解決いしたい人向けの制度です。
相手が弁護士を立ててくると、この制度を利用できない可能性があります。
強制執行
強制執行は、執行機関に申し立てて、差押え・競売による換金・配当といった手続きを経て、売掛金を回収する方法です。
強制執行は、多くの専門知識が必要になります。
できれば、法律の専門家の弁護士に依頼しましょう。
訴訟は最終手段
債権回収の最後の手段は訴訟です。
訴訟により金銭支払いの勝訴判決を得れば、相手の財産に対し強制執行を行うことができます。
ただし、訴訟は判決が出るまで時間がかかるというデメリットがあります。
時間の経過は、相手の状況変化も招きます。
訴訟の間に、債務者が倒産したり、逃げってしまったりしては、回収は困難になる一方です。
売掛金未回収の最上策は、時間とコストを掛けずに回収することです。
よって、通常訴訟の検討をできるのは
- 時間がかかっても大丈夫なケース
- 裁判費用がかかっても費用対効果が合うケース
の2つです。
裁判で勝つことと、回収できることは別件であることに注意が必要です。
焦付きや倒産をのリスクを軽減する金融商品
ファクタリング
売掛金の未回収を防ぐには「ファクタリング」を検討してみるのもいいでしょう。
ファクタリングとは、売掛金を売却して現金化することです。
翌月入ってくる予定の売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい、その買い取り金額をその場で現金化してもらう取引です。
要するに、30~40日後に入金予定のお金を、手数料を払うことで、すぐに入手するための方法です。
ファクタリングのメリット
メリット1・簡単に資金調達できる
ファクタリングは融資ではありませんので、審査に通りやすく担保も不要です。
メリット2・売掛金の焦付きリスクを回避できる
売掛金の回収が不能になった場合でも、回収リスクをファクタリング会社が負担するので(償還請求権なしの債権譲渡の場合)焦付きのリスクを回避できます。
メリット3・キャッシュフローの正常化
売掛金を売却することで資金調達できるので、急な出費や支払金の不足に対応できます。
ファクタリングのデメリット
手数料が高い
ファクタリングのデメリットの1つは、やはり手数料が高いことです。
手数料は2社間と3社間でも異なり、2社間なら買取売掛金額の10%~30%、3社間なら1%~5%です。
銀行融資と比べると、その高さがわかります。
また、ファクタリングは売掛金が無いと資金調達ができないので、月商以上となる調達はできないというデメリットもあります。
経営セーフティ共済
取引先が倒産した場合、連鎖倒産や経営難を防ぐ目的で作られた制度に、「経営セーフティ共済」があります。
取引会社の、破産、民事再生などの法的整理だけでなく、金融機関による取引停止処分、弁護士等による私的整理、災害による不渡り、政府が指定した特定非常災害による支払不能も含まれます。
貸付金は、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れられます。
共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ない方となります。
取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れるというスピード性もあります。
また掛金は、損金または必要経費に算入できる税制優遇もあります。
売掛金を回収できなかったとき
貸倒損失
売掛金の回収の努力をしたにもかかわらず、回収できない未収入金については、貸倒損失に計上できます。
ただし、貸倒損失として計上するには、
- 法律上の債権の切り捨てがあった場合(法律上の貸倒)
- 全額回収できない場合(事実上の貸倒)
- 一定期間取引停止後弁済がない場合等
といった条件を満たす必要があります。
売掛金が回収できなければ、すべて貸倒損失として計上できない点に注意しましょう。
弁護士に相談
売掛金を回収するのがむずかしい場合は、弁護士に依頼するのも方法です。
ただし、弁護士に依頼して回収となれば、時間がかかることは必須です。
そして、弁護士費用がかかることも忘れてはいけません。
時間と費用、それを売掛金の未回収額と照らし合わせ、見合った金額になるかをじっくり検討しましょう。
まとめ
売掛金が焦付いた場合、これを解決するのは容易ではありません。
やはり、最初に契約を交わしたり、早め早めの予防が、被害を最小限に食い止めの方法です。
それでも、100%防ぐことは無理ですが、もし売掛の未回収が起こってしまった場合は、この記事を参考にしてみて下さい。
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