【焦付き防止】会社が倒産する危ない予兆10選

債権回収法

売掛金の回収は、ある意味売ること以上の命題です。

キャッシュがなければ会社は倒産、売掛金の焦げ付きが、自社にとって致命傷となりかねないからです。

そこまで大げさでなくても、仕入を自社が被らなくてはいけないのは、非常に痛手です。

とはいえ、取引先もいきなり経営状態が悪くなるわけではありません。

そこには必ず、いくつかの「倒産しそうな予兆」が発せられています。

一つでは危険度は低いかもしれませんが、予兆が何個か重なったら、取はぐれのないよう回収の段取りに着手するときです。

危ない予兆1・社長や経理担当と会うことができない

経営状態の悪い会社は、社長や経理が金策に走り回っているので、

  • 社長や経理が急に忙しくなった
  • 社長や経理となかなか会えない
  • 社長や経理と電話が通じない
  • 経理担当がよく変わる

といったことが起こります。

社長が金策に走るときは、どこに行くかなど周りに告げたりしません。

取引先の会社内で、社長のスケジュールを良く知っている人に、社長がどこに出かけたか聞いて、「知らない」という答えが頻繁に出てくるなら、それは金策に走り回っている可能性が高いです。

危ない予兆2・役員、幹部社員、経理部長が辞めていく

会社の役員や幹部社員は、経営に関わっている人たちです。

その人たちが辞めていくということは、何かしらの兆候を察したり、社長と重大な意見の衝突があったなどの理由があるはずです。

経理部長も、お金の流れを把握できる立場です。

この会社はヤバいと思い、愛想を尽かして辞めていくことも考えられます。

危ない予兆3・社長の病気や交代

中小企業の経営は、良くも悪くも社長が柱です。

社長のマンパワーが、売上に影響しています。

その社長が病気で倒れたりすれば、売上げも一気に減ったりします。

また、死亡が事情で突然交代する場合も、注意が必要です。

信頼のない社長が新しく就任しても、取引先や金融機関からの信用不安が起こり、経営は不安定になります。

危ない予兆4・会社の掃除がされてない

会社の資金繰りが危なくなってくると、細かいところへの気配りができなくなってきます。

それは掃除にも表れます。

トイレの水回りが汚い、窓のサッシがカビで汚れている、物が乱雑に置かれているなど、資金繰りや売掛金の回収に追われ、掃除どころではなくなってしまいます。

危ない予兆5・電話対応が悪くなった

電話対応が粗雑になったり、声が小さいなど、以前と変わっていたら注意が必要です。

給料の遅配や、社長からの無茶な要求などにより、従業員のモチベーションが極端に下がっている場合があります。

そういう不満は、普段の口調や仕草、行動に表れます。

危ない予兆6・普段見かけない人が会社に出入りする

スーツを着た銀行関係者が頻繁に会社に訪れるようになるのも一つの兆候です。

資金繰りが悪化し、返済についての話し合いに来ている可能性があります。

また、銀行員自体が、会社の状況を自分の目で視察にきていることもあります。

普段見かけない人を見たら、その会社の事務員さんにどこの関係者か聞いてみるのもいいでしょう。

銀行員でなく、怪しいなんちゃらコンサルタントなら、危険度マックスです。

危ない兆候7・在庫が増大

納めていた商品の在庫の動きが悪くなり、在庫が増大すれば、資金繰り悪化のサインです。

一時的なものなら大丈夫ですが、過剰な在庫の滞留は、経営の悪化を疑った方がよいかもしれません。

また、倉庫にいつもより多く段ボールが積まれていたりする場合、まとまった返品を喰らった可能性があります。

不良在庫を多く抱えてないか、従業員から聞き出した方がいいでしょう。

危ない兆候8・新規分野への進出

これまでとはまったく違う分野へ進出すると聞いたら、一か八かの勝負に出ていると考えた方が無難です。

仮に成功したとしても、多額の投資資金が必要であり、さらなる資金繰りの悪化を招く可能性大です。

また、何も知識・経験のない新分野への進出は、成功の確率自体低いものです。

えいやあで勝てるほど甘くないことを考えれば、正常な経営状態の会社でも、新規事業での成功自体確率が低いのです。

ましてや尻の火のついた会社なら、失敗する公算の方が高いでしょう。

奇跡のV字回復なんて、ドラマだけの話です(めったに起こらないことだからドラマになったともいえます)。

新分野の進出と聞いたら、危ない予兆と考えましょう。

危ない予兆9・振込先の変更

債務者側の会社から「振込先の銀行を変えてください」とお願いされたら、何事かまずいことがあると疑った方がいいです。

その理由はズバリ、お金を振り込むと「借りているお金と相殺されてしまうから」です。

その銀行への返済が滞っていて、そこにお金を振り込むと、相殺されてしまうのです。

それを避けるために、「振込先を変えて」とお願いしているのです。

何もなければ、通常そんなお願いしないでしょう。

危ない予兆10・支払方法の変更

現金取引だったのに、手形取引を要求してきた。

あるいは、手形のサイトの延長、手形の書き換えをいってくるようになったなど、支払い方法の変更は重要なサインです。

とくに手形のジャンプ、融通手形などは、経営が末期に近づきつつある証拠です。

現金取引以外応じないなど、強い態度で臨む必要があります。

まとめ

売掛金の焦げ付きは、100%防ぐことはできません。

しかし、その予兆を素早く察知することで、早め早めの対応ができ、被害を最小にとどめることはできます。

末期状態になれば、売掛金の1割しか回収できなかったということにもなりかねません(もっといえば、ない袖は振れないわけで、お金のない相手からは、裁判で勝ってもお金は回収できません)。

会社の経営状態が悪くなれば、隠そうと思っても、そう隠しきれるものではありません。

長い期間よーく観察していれば、口調や口癖、行動や仕草に必ず兆候が出てきます。

とくに、社長や役員などの、経営陣の動向に注意してください。

危ない予兆を察知して、どでかい売掛金の焦げ付きを回避しましょう。

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