あなたが採用する営業戦略で、会社の資金繰りは変わります。

逆にいえば、その営業展開が資金繰りにどう影響するかを考えないと、売れば売るほど経営が苦しくなるということも十分考えられます。

やみくもに、売ればいいというわけではないのです。

営業戦略は、資金繰りまで考えて決めるべきです。

余裕資金で機会損失を防ぐ

ビジネスでは、手持ち資金が多いほど、自分に有利な選択肢を採ることができます。

たとえば、手持ち資金に余裕があれば、「これはいける」と思ったときに、すぐに投資することができます。

仮に、売れ筋商品100個しか仕入れできないところを、チャンスとばかりに200個仕入れて販売すれば、2倍の売上をあげることができます。

要するに、投資をすることで、売れる機会を失しなわないで済むわけです。

手持ち資金がなければ、そんな大胆な方針を採ることはできません。

その結果、100個分の利益を逃すことになり、投資してガンガン売った方と、ビジネス規模にどんどん差が開いていきます。

手持ち資金が多い会社の採るべき営業戦略

そして手持ち資金は、投資だけでなく、自社の資金繰り、ひいては営業戦略にも大きく影響してきます。

たとえば、仕入価格1本10000円のワインを卸売りする場合を考えてみましょう。

あなたは客単価アップと粗利益拡大を狙って、販売価格を20000円の強気で設定しました。

しかしです。

取引先は高い仕入単価を受容れる代わりに、売掛期間の延長を条件に出してきました。

それにより、売掛期間が15日から30日に延びてしまいます。

ここで、あなたの会社が手持ち資金に余裕がある場合、少々売掛期間が延びたとしても、すぐに資金繰りが悪くなるわけではありません。

それなら、多少運転資金が増加したとしても、売上と粗利益アップという方針を採ることもできます。

そうすれば、結果として年間のフリーキャッシュフローを最大化することもできるでしょう。

手持ち資金の少ない会社の営業戦略

ですが、会社の手持ち資金が少なければどうでしょうか?

売掛期間が延びると、必要な運転資金は増加し、資金繰りは以前に比べ悪くなります。

そうすると、手持ち資金が少ないうえ、その取引が資金繰りを圧迫する原因となってきます。

つまりこの場合、手持ち資金が少ないなら、そこからさらに資金繰りを悪化させてまで、売上と利益拡大路線は採るべきではないということです。

会社の存続は、キャッシュのあるなしで決まります。

帳簿は黒字でも、倒産だってあるのです

ならば、手持ち資金の少ない会社は、売上げアップや利益率改善の前に、資金繰りを良くする方向を考えるのが先でしょう。

たとえば、あえて卸売り価格を15000円まで下げる営業戦略を採用すればどうでしょう。

すると、低価格を条件に、取引先に現金引換えや売掛期間の短縮などの交換条件を引き出せます。

取引先の売掛期間の短縮は、自社の運転資金の減少になり、資金繰りは改善します。

安売りは下策といわれていますが、このケースでは安売りをすることも(取引条件を引き換えにすることがポイント)、戦略としてはありなのです。

ダメ営業展開はこれ

このように、自社の手持ち資金は、会社の戦略に大きく関わっています。

そこを考えずに、会社の状態にマッチしない営業戦略を採用すれば、売上は上がっても経営状態は逆に苦しくなります。

たとえば、シェア拡大や販売不振を挽回するため、とにかく売上アップを目指して、相手との交換条件を引き出さず、むやみやたら安売りすればどうでしょう?

売上アップはしても、粗利は少なくなり、必要な運転資金は増加します。

これこそやってはいけない安売りで、こうなると自転車操業ばりに、資金をグルグル回しているだけで、資金繰りは悪くなる一方です。

これは何の戦略もない営業方針で、時間の経過を共に経営状態は悪化します。

「売る」ことと「お金を残す」ことは別

社長には売ることが得意な人が多いといいます。

しかし、「売る」ことと「資金繰り」は別ということを、経営者なら理解しなくてはいけません。

営業が得意だからとか、売れれば経営状態は良くなると思って、ガンガン攻めの営業しても、実は自社の資金繰りを圧迫していることもあるのです。

その原因は、財務を理解してないからです。

財務を読み解けば、損益計算書の営業利益の額だけでなく、貸借対照表の「売掛金」「棚卸資産」「買掛金」の数字が、資金繰りにどのように影響するかがわかります。

そうすれば、同じ売るにしても、どういう条件で相手と取引すべきか、それも営業戦略としてわかってくるのです。

繰り返しますが、会社の存続は「キャッシュのあるなし」で決まります。

売れたとしてもキャッシュがなければ潰れますし、売上げが減ってもキャッシュがあれば会社は存続します。

だからこそその取引が、資金繰りにどう影響するかまでを経営者は考えなくてはいけないのです。

売れてもキャッシュがなく潰れてしまっては、元も子もありません。

会社の資金繰りを良くするには

ではここで、資金繰りと販売の関係についておさらいをしておきます。

会社の資金繰りを良くするには、

  1. 回収を早めること
  2. 支払を遅らせること

が大きく関係しています。

回収を早めること

販売代金の回収が遅くなると手持ち資金は少なくなり、その間の資金繰りは大変になります。

資金繰りを改善するなら、代金の回収を1日でも早めなくてはいけません。

とくに粗利の低いビジネスの場合、立替える資金も売上げに対して大きくなるので、余計苦しくなるでしょう。

粗利益があなたの会社の資金繰りを決める

お金は後でもらうより、先にもらった方が経営は楽になります。

それを体現しているのが、「前払いビジネス」です。

支払より回収を先に持ってくることで、資金繰りはぐんと楽になります。

そもそも回収期間が長くなと

  • 貸倒れリスクが高くなること
  • 金利負担が発生すること

という超危険な2つのデメリットが発生します。

回収期間が長くなれば、相手の状況も変化しますので、その分貸倒れリスクが発生します。

金利負担は目に見えませんが、売掛金で支払を待つということは、その間の金利をあなたが肩代わりしていることと同じです。

本来なら、貸付期間(売掛期間)に応じて、利息を上乗せしておいても良いくらいです。

売掛で売った方は、元々このようなリスクを背負わされているわけで、よくよく考えてみれば、それを取引条件に折込むことは間違ったことではないでしょう。

もちろんそこは、取引先との力関係があり、一方的に条件を飲んでくれるわけではありませんが、何も買ってくれるからと、安易に相手が有利になる条件で取引しなくてもいいのです。

そりゃお人好しというものです。

代金を安くする代わりに、支払い期間の短縮を訴える、それが実現すれば資金繰りは改善します。

支払を遅らせる

代金回収を早めたら、支払い時期を遅らせることを考えます。

仕入れ業者や外注先との交渉は、営業先より交渉しやすいでしょう。

何せ、お金を支払うのはこっち(自社)です。

商取引は、たいがいお客様の立場が強いわけで、取引条件も主導権を握って交渉できます。

ただしやり過ぎは禁物で、相手があっての商売であることを忘れてはいけません。

現状から1カ月も2カ月も支払いを後にしてもらうこと自体、取引先の資金繰りを圧迫する行為ですし、逆にこちらの経営状態が悪いのではないかと、あらぬ疑念を生じさせてしまいます。

そこで、たとえば10日間でも支払いを延ばせないか交渉します。

その分、

  • 値引きする
  • 数量を多めに注文する
  • 取引シェアを上げてあげる

などの取引条件も必要になってきます。

たった10日でも売掛期間が縮まれば、運転資金もそれだけ少なくて済みます。

もし、支払いを10日遅らせ、回収を10日早めたら、計20日分も運転資金を浮かすことができます。

これはとても大きな資金繰り改善です。

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)で検証

それを検証するため、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)で考えてみます。

CCCについて詳しくは下記の記事を参考にして下さい。

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を使って資金繰りを改善

CCCを算出する計算式は

・CCC=売掛債権回転日数+棚卸資産回転日数-買掛債務回転日数

です。

たとえば、次のような条件の場合

  • 売掛債権回転日数:30日
  • 棚卸資産回転日数:45日
  • 買掛債務回転日数:40日

だった場合、CCCは

・30日+45日-40日=35日

になります。

これを売掛債権回転日数を10日短縮、買掛債務回転日数を10日延長できれば

・20日+45日-50日=15日

と20日間短縮できることがわかります。

これで支払いの度、ヒヤヒヤしなくてもよくなります。

そしてその余裕が、営業展開にも好影響を及ぼします。

まとめ

営業展開は、ただ単に売ればいいというものでなく、そこには戦略が必要です。

安く売るなら、回収条件を自社にとって有利しなくては、自ら首を絞めているようなもので、資金繰りは悪くなる一方です。

高く販売するなら、それを条件に相手が有利になるよう、回収条件を緩和するもの方法です(もちろん、回収を早くして、支払いを遅くするのが最上ですが)。

この戦略を採用するのに、基本となるのが自社の財務状態です。

手持ち資金が少ないのに、売上が上がるにせよ、さらに資金繰りが悪くなる営業戦略を選択するのは、採るべき方法ではありません。

自社の財務状態を把握して、営業展開に役立てましょう。

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