社会保険料は年々高くなり、すでに給料の30%の負担になりました。

中小企業の経営者は、会社も個人も実質自分で支払っているのと同じなので、これはとても重い負担です。

すでに所得によっては、所得税・住民税より社会保険料の負担の方が重いくらいです。

だいたい年収800万くらいで、同負担額に近づきます。

年収804万(月収67万)で計算すると

  • 所得税・復興特別税:469700円
  • 住民税:464500円
  • 所得税・住民税合計:934200円
  • 社会保険料(健康保険・厚生年金):1085088円

※社会保険料は東京都、40歳以下で計算。基礎控除38万円のみで計算。

年収800万以下の人の場合、社会保険料の負担の方が重いのです。

こんな高負担の社会保険料は、できることなら削減したい、それが偽らざる本音ではないでしょうか?

しかし、社会保険料の削減は、巷に色々出回っていますが、その実、机上の空論となる方法も混ざっています。

実際に使える方法はごくわずかです。

では、使える方法とはどんなものか?

それをこの記事で解説していきます。

ただし、この記事でご紹介するのは、社長ご本人に使える方法で、従業員さんには使えないので(一部使えるが、効果は薄い)、その点はご了承下さい。

社会保険料の決まり方

社会保険料削減ノウハウの前に、社会保険料の決まり方を知っておく必要があります。

何をどうやれば保険料が上がったり下がったりするのか?その理屈を知らなければ、ノウハウどころの話ではないでしょう。

社会保険料を算出するには、「健康保険・厚生年金の保険料額表」から求めます。

全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページのアクセスすれば、誰でも見ることができます。

保険料は、都道府県によって違いますので、お住まいの地域の表で求めてください。

協会けんぽのホームページ

最初に、毎月の給料(総支給)が、「報酬月額」のどの欄に当たるかを調べます。

※保険料額表は平成29年度、東京都のもの。

仮に30万なら、290000~310000に該当します。

その結果、等級と月額が決まります。

30万の場合は、22等級、月額300000になります。

等級と月額が決まったら、その左の欄に健康保険料と、厚生年金保険料が記載されています。

上記30万の例なら

介護保険第2号被保険者に該当する場合

  • 健康保険料:11.56% 月額保険料労使合わせて34680円(個人負担17340円)
  • 厚生年金保険料:18.3% 月額保険料労使合わせて54900円(個人負担27450円)

となります。

ここまで見てわかるように、社会保険料の基準は、総支給される給料の額です。

ということは、社会保険料を下げるためには、算定基準となる給料の額を下げるしかないということです。

これは絶対で、もし給料を下げずに保険料を下げたいなら、「給与とみなされない」お金の受け取り方をしないといけないのです。

もちろんそういう方法もあるのですが、通常の社会保険料削減ノウハウは、給料を下げることにスポットを当てた方法がほとんどです。

しかし、給料が下がるのは誰でも嫌なことになります。

よって、総報酬は変えないで、月額の給料を下げることになるわけですが、実はここに無理が生じます。

「事前確定届出給与」で社会保険料削減スキーム

事前確定給与届出で社会保険料を70万円も削減

社会保険料を削減するスキームの中で有名なものに、「事前確定届出給与」を使ったスキームがあります。

これはご存知の方も多いと思いますが、役員賞与の社会保険料の上限(健康保険で573万円、厚生年金で150万円)に目を付けたスキームで、役員の総報酬額は同じでも、月々の役員報酬額を抑えて、その分賞与の額を大きくすることで、社会保険料も少なくする方法です。

「事前確定届出給与」を使った社会保険料削減スキームとは?

社会保険料は、毎月支給する給与の額で決まります。

そのため、社会保険料を削減するには、基本的に給与を減らさなくてはいけません。

しかし、社会保険料を減らすために、年収を減らしてしまうのは、誰も望んでいない方法です。

そこで、役員賞与を使います。

毎月の給料を減らした分を、役員賞与でまかなうのです。

仮に毎月の役員報酬が100万円なら、年収1200万円です。

それなら、毎月の給与を10万円にして、賞与で1080万円もらえば、トータルでの収入は変わりません。

そして、社会保険料には「健康保険で573万円、厚生年金で150万円」という上限があります。

つまり、同じ年収ならば、役員賞与でたくさんもらう方が、社会保険料の負担も少なくて済むのです。

それにより、社長の手取りも増える、というわけです。

しかし、あなたもご存知のように、役員賞与は原則「損金」と認められません。

社会保険料は削減できたはいいが、経費に認められず、法人税の支払いが増えるとなれば、これまた意味がありません。

そこで、「事前確定給与届出」を使います。

事前確定給与届出とは、「何月何日にいくら支給します」ということを事前に税務署に届け出ることで、役員賞与の額を損金にできるという制度です。

No.5209 役員に対する給与(平成19年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度分)

これにより、役員賞与を損金にしつつ、かつ、社長の社会保険料も削減できるスキームが完成するというわけです。

社会保険料削減スキーム以外にも、年金復活プランとしても利用されることがあります。

例えば、年間の役員報酬・賞与の合計が1200万円で計算してみます。※平成29年の保険料

1・役員報酬が月額100万円で年間1200万円

2・役員報酬が月額10万円(年間120万円)、役員賞与が1080万円で合計1200万円

<1の場合>

<2の場合>

すると、社会保険料が1360476円-644016円=716460円差額が出ることになります。

1年間で71万、10年なら710万円で、うひょー、ってなります。

ただし、ただ賞与を支給してしまうと、今度は税金の面で不利になります。

役員に対する賞与は経費になりませんので、そのまま支給してしまうと、法人税と所得税を2重に支払うことになります。

これでは社会保険料は削減できても、一向においしくないことになります。

そこで、「事前確定届出給与」の制度を使います。

この制度を利用すると、役員に賞与を支給するとき、事前に所定の届出書を、決められた期限までに税務署に提出し、その通りの金額を支給すれば損金として認められるというものです。

これで、賞与は損金として認められ、社会保険料は一気に削減できる、というわけです。

意外に税務上も問題なし

しかし、こように偏った役員報酬のもらい方をして、問題ないのでしょうか?

一番に気になるのは税金のことです。

国税速報によりますと

平成28年9月12日国税速報第6427号

事前確定届出給与の届出書の「⑤事前確定届出給与につき定額同額給与による支給としない理由及び事前確定届出給与の支給時期を付表の支給時期とした理由」欄に「社会保険料の負担軽減」と明記することが求められる。

・引用元:わかった気になる!会計・税金・相続

とあります。

要するに、こんな偏ったもらい方をするのは、社会保険料の負担軽減のためと明記すれば問題ないというわけです。

何とパーフェクトなスキームなのでしょう。

これで完璧。

後はスキームを実行するだけです。

しかしです。

このスキーム、大きな穴があったのです。

そのスキームは画に描いた餅

その穴とは、毎月10万では生活費が足りない、ということです。

そのせいでしょうか。

毎月の役員報酬は定額をもらいながら、役員賞与からもらうはずのお金を、実際は毎月の給与に振分けて受取るケースが増えました。

これではいったい何が何やら。

名目だけは役員賞与で、実態は月給に振分けているだけです。

そんなイカさまを知って、厚労省が黙っているはずもありません。

さっそく、「「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正について 」と銘打って、そのような方法は通用しなくなりました。

ルールを握っているとはこういうことです。

抜け穴はすぐに塞がれてしまいます。

賞与と見せかけて月給を払っても、それは社会保険料の対象になります、となってしまいました。

そして、役員賞与から偽装して振り分けると、「事前確定届出給与」でも問題になります。

1円でも届出額と賞与の額が違ったら、損金として認めないとなっているのに、それを毎月の給料で支給していたとなると、税務上も問題です。

「事前確定給与届出」を使った社会保険料削減スキームの欠点とは、実際の生活を無視したところにあったのです。

総報酬はスキーム前と違わないわけで、理論上は生活に困らないのですが、現実にはお金がなくて困ってしまうということです。

引用元:事前確定届出給与で、社会保険料を最低限にするスキームは、経営的にはマイナス

もちろん、賞与が出るまで、月々の少ない役員報酬額で持ちこたえることができれば、問題はないですが。

その他にも

  • 役員退職金・弔慰金の計算で、問題となる可能性がある(後で解説あり)。
  • 社会保険料が減ると、その分、法人の利益が増えるので、法人税の増額になる可能性がある。
  • 個人の所得税も、社会保険料が減ると、社会保険料控除額も少なくなるので、増える可能性がある。
  • 役員賞与が高額なため、会社の経営状態によっては、資金繰り悪化を招く可能性がある。
  • 会社の経営状態によっては、届け出た額の役員賞与を出せないことあり、その場合、資金繰り悪化と賞与が損金に認められないというダブルパンチになる。

というデメリットがあります。

いずれにしても、極端なことをすればどこかに無理が生じるという良い例です。

生命保険を使った社会保険削減法【追記あり】

ポイントは「給与」になるかどうか

その他にも、「生命保険」を使った社会保険料削減方法があります。

このスキームのポイントはいくつかあるのですが、大きな関門として、「会社が支払う生命保険料が給与の算定基準に入らないかどうか」があります。

社会保険料は、会社から支払われる給与の額で決まることは、このページの最初で述べました。

その給与の額には、

  • 算定基礎に入るもの
  • 算定基礎に入らないもの

の2つがあります。

算定基礎に「入らないもの」で金銭を受けっとたなら、給与の額には反映されないので、社会保険料の対象にならず、保険料も上がりません。

この算定基準に入らないものの中に、「会社が全額負担する生命保険の掛金」があります。

労働保険料等の算定基礎となる賃金早見表(例示)

実際、旧社保庁の昭和38年2月6日通達でも

団体養老保険の保険料を事業主が負担している場合、その保険契約によって受ける利益が従業員に及ぶものであっても、当該保険に関する事項について労働協約、給与規則等に一切規定されておらず、事業主が保険契約の当事者となって恩恵的に加入しているような場合には、その事業主が負担する保険料は、報酬には含まれない。

となっています。

この通達を根拠に、「会社が全額負担する生命保険の掛金」は社会保険料の算定基礎に含まれないとし、役員報酬の一部を生命保険料で支払い、社会保険料を下げるというスキームです(保険料は給与課税になる契約形態)。

たとえば役員報酬に50万を支払えば、全額が社会保険料の対象となります。

しかし役員報酬を40万円に下げ、その代わりに会社が10万円保険料を負担すれば、社会保険料の対象となる給与が40万円になるので、その分保険料が下がるというわけです。

<役員報酬50万の場合>

<役員報酬40万円・生命保険で10万円>

このスキームにもリスクはありました。

そこで、わたし自身、鳥取県の2か所の年金事務所に問合わせたところ、「たしかにそのような通達はあります」と断ったうえで、です。

役員一人が加入する場合は、「会社が全額負担する生命保険の掛金」であっても(養老保険でも)、算定基礎に「含まれる」とのことでした。

「会社が全額負担する生命保険の掛金」が、算定基礎に「含まれない」ためには、役員も含めた従業員「全員の加入」でなければならないという回答になりました。

※追記あり。昭和38年2月6日通達条件を満たせば全員加入しなくても「算定基礎には含まれない」となります。

回答は即答でなく、調べた上で3日後ぐらいにありました。

どうやら通達以外にも、個別の対応マニュアルのようなものがある感じでした(あるとも仰っていました)。

これは鳥取県の年金事務所の回答ですし、わたし自身の聞き方が良くなかったかもしれません。

※追記あり。上記はあくまで個別の事例の判定でした。基本は昭和38年2月6日通達の条件を満たせば「算定基礎に含まれない」との回答をいただきました。

厚労省は社会保険の強制加入にも力を入れていますし、年金事務所も、社会保険料の徴収を強めています。

通達があるからといって、役員一人が得する社会保険料削減法を、おいそれと認めてくれるのか甚だ疑問です。

このスキームを採用するなら、

  • 役員一人で加入なら少なくとも否認されるリスクがある
  • 否認されるリスクをなくすため従業員を含め全員加入する
  • 全員加入でも福利厚生の一環と受け止められる範囲に保険料を納めておく

にしておくべきです。

2018年7月に確認したところ通達の要件を満たせば算定基礎には含まれないとの回答をいただきました。ただし状況によっては、「個別に判断される」可能性はあります。

【追記】2018年7月25日。保険料は算定基礎に含まれない

2018年7月25日に鳥取県内の社会保険事務所に確認したところ、

  1. 事業者が契約者となっている保険
  2. 福利厚生目的で保険料の負担をしている(給与規定や福利厚生規定で規定されてないことが条件)

という2点を満たしていれば、賃金の「算定基礎に入らない」という回答をいただきました。

つまり、昭和38年2月6日の通達通りということです。

この条件を満たしていれば、従業員全員が加入しなくとも、保険料をいくら会社が負担しようとも、「算定基礎に入らない」のです。

逆にいえば、要件がこの2点しかないため、条件によっては個別事案になってしまう可能性があるといえます。

たとえば次のようなケースです。

仮に役員報酬が20万円で、その中から3万円の保険料を会社が負担していた場合、この3万円は「算定基礎に含まれる」となります。

決められた役員報酬の中から、その一部を会社が負担しているわけですから、それは給与と同じです、という考え方がなされたようです。

反対にいえば、役員報酬が20万円で、上乗せとして3万円の保険料を福利厚生目的で会社が負担していたら、それは「算定基礎に含まれない」となるのです。

つまり結論としては、生命保険を使った社会保険料削減スキームで、社会保険料を削減できる(一定条件の元)ということになります。

※社会保険料の削減を保証するものではありませんのでご注意ください。

※このスキームで「確実」に社会保険を削減したいなら、どういった形で会社が保険料を負担すればよいか、やはり年金事務所に確認を取りながらした方が無難です。認められた方法で社会保険料をできるだけ抑えようとすることは悪いことではないでしょう。だから堂々と管轄の年金事務所に問合せてください(生命保険を使った社会保険料削減スキームについてなどど聞くと怪しまれますので、会社が支払う保険料は算定基準に入りますかといった具合に問合せましょう)。

【社長専門】生命保険を使ったスキームでガツンと手取りを増やしたいならこちら

実務で使える社会保険料を削減する5つの方法

ここからは、画に描いた餅でも、否認もされない、安心安全で、実生活に支障を来たさない社会保険の削減方法をご紹介します。

報酬に当たらないもので受け取るのがポイント

社会保険料を削減するには、給与に該当しないものを(算定基礎に含まないもの)、会社から社長に支給することで、額面を変えずに社会保険料だけ削減できます。

社会保険料の対象となる給与とは、以下の条文で定められています。

賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない

賦課対象となる報酬等の範囲の現状について

以上の条文から、社会保険料削減は、カテゴリーを次の3つに分けて考えます。

  1. 報酬の一部を引き下げて、労働の対価でないもに変える
  2. 報酬の一部を引き下げて、臨時に受け取るものに変える
  3. 報酬の一部を引き下げて、3カ月を超える期間ごとに受け取るものに変える

この3つのカテゴリーの中で現実的に使えるのが、「1」の「報酬の一部を引き下げて、労働の対価でないもに変える」です。

「2」の臨時に受け取るものも、結婚祝い金など、用途も絞られますし、そもそも大きな額を支給すると給与に該当してきます。

「3」の、「3カ月を超える期間ごとに受け取るもの」は、報酬には該当しなくとも「賞与」に当たりますので、結果として社会保険料の対象になります。

以上のことから、「1」の「労働の対価」を「報酬に該当しないもの」に変えて会社からお金を支給することがベストになります。

では、そんな方法があるのでしょうか?

はい。あります。

それをこれからご紹介いたします。

出張旅費規程で社会保険料を削減

出張旅費規程とは、会社の中の出張に関する取り決めのことです。

交通費、宿泊費、出張手当の額や、その支給のルールを定めます。

この、交通費、宿泊費、出張手当は、「報酬に該当しないもの」に当たります。

※出張手当は、高額なものは給与と判定されることがあります。

さらに、

  • 所得税・住民税の対象にならない。
  • 出張旅費・宿泊費・日当は、消費税の課税仕入れの対象になる
  • 出張旅費は経費になり、法人税を節税できる

というメリットもあります。

消費税10%は、2019年10月に延期になっておりますが、少しでも減らせるよう今から対策を打っておくべきです。

要するに、出張の多い社長の場合、この出張旅費規程を定めておくことで、数十万から数百万の、社会保険料のかからない非課税手当を受取ることができるのです。

もし、年間100万円の出張旅費が見込めるのなら、その分役員報酬を減らせば、社会保険料も削減できます。

社会保険料を削減したければ、この方法を採用しない手はないです。

出張旅費規程の詳しい解説は、下記記事をお読みください。

節税効果バツグン!社長の「出張旅費規程」完全ガイド

借上げ社宅制度で社会保険料を削減

借上げ社宅制度を使うと、社会保険料を削減できます。

会社が家賃の補助として、住宅手当を支給すると、給与として報酬に含まれます。

これに対し、社宅を借上げ、社員が家賃の一部を負担する場合は、現物給与として報酬に含まれないのです。

※全額ではないことに注意。

借上げ社宅制度とは、役員や社員が住む住宅を会社が借り上げ、社宅として社員や役員に貸す制度です。

会社にとっては、家賃を福利厚生費として経費計上でき、社員にとっては負担の少ない家賃で社宅に住めます。

【保存版】役員のための借上げ社宅活用ガイド

社長の自宅を社宅にしてキャッシュを最大化する全手法

仮に30万が基本給で、住宅手当を10万円支給すれば、40万円が報酬となり、社会保険料が計算されます。

これが借上げ社宅制度で、会社が10万円で社宅を借り、その内役員の負担が2万円とした場合、基本給の30万円に、役員が負担する2万円の一部しか、社会保険料の対象にならないのです。

その差額が、社会保険料の削減となります。

社会保険料の場合、報酬や賞与の全部または一部が、現金以外のもので支払われたとき(現物給与)は、厚生労働大臣が定めた価格に基づき、お金に換算され、金銭と合算され報酬が決められます。

住宅の貸与も「現物給与」に当たります。

全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)

換算額の求め方

では報酬額に含める金額はいくらになるのか?ポイントは次の2つです。

ポイント1・換算額は都道府県ごと、居住スペースで決まる

換算額は、固定資産税や賃料ではなく、都道府県ごとに決まっている畳一畳あたりの価額(1.65㎡)に住宅面積を乗じて算出します。

・住宅貸与の通貨への換算額=住宅面積×都道府県ごとの価額

この住宅面積は、「居住スペース」のみが対象です。

居住用でないスペースは対象外です。

  • 居住用にあたるスペース:居間、茶の間、寝室、客間、書斎、応接間、仏間、食事室など
  • 居住用にあたらないスペース:玄関、台所、トイレ、浴室、廊下など

<例>

  • 専有面積:50㎡
  • 間取り:2LDK
  • 居住スペース:9畳、7畳、6畳

この場合22畳で計算します。

東京都の1人1カ月当たりの住宅の利益の額:2590円(平成29年度4月~)

・たたみ1畳につき2590円×22畳=住宅の利益額:56980円

ポイント2・役員から社宅費用を徴収しているときは、換算額から徴収額を差し引いた額が報酬額となる

役員から社宅費や寮費などの住宅費用を徴収している場合は、上記計算で求めた換算額と役員からの徴収額の差額が報酬額となります。

もし、会社が毎月10万円で借上げ、その内2万円の役員の負担の場合

・56980円-20000円=36980円

が報酬に含まれる金額となります。

30万の基本給なら

・300000円+36980円=336980円

が社会保険料の対象となる金額です。

もし、36980円も報酬に含まれることがイヤという場合は、役員の家賃負担を56980円にすれば、社会保険料は増えないことになります。

このあたりの調整は、社長の収入によって変わります。

収入の高い社長は、社会保険料の額もマックスになっていることもありますので、その場合、税金が安くなることを優先させた方がいいです。

その反対に、収入が一定以下の場合は、税金より社会保険料の方が高い場合もあります。

よって

  • 収入の高い→自己負担額を最低にする→手取りが多くなる可能性がある
  • 収入が一定額以下→自己負担額を住宅の利益と同じにする→手取りが多くなる可能性がある

となります。

役員借入で社会保険料削減

社長は、創業時や運転資金不足から、会社にお金を貸しているケースがあります。

これを「役員借入金」といいます。

※社長が会社からお金を借りる「役員貸付金」ではないことに注意

この役員借入金を、会社から返してもらう場合、その返済金には、社会保険料はかかりません。

もちろん、税金もかかりません。

役員借入金の返済は、報酬額に含まれないからです。

となれば、返済額の分だけ役員報酬を減らせば、実質的に年収は変えることなく、社会保険料を削減することができます。

たとえば、役員借入金が1000万円あったとします。

それを

  • 返済額:年間100万円
  • 返済期間:10年間
  • 変更前の社長の報酬:900万円
  • 変更後の社長の報酬:800万円

の条件でシミュレーションすると

社会保険料は、年間4万円の削減で、10年間だと41万円も削減できます。

税金と合わせるとその額は、年間29万円、10年間で290万円にも削減効果が及びます。

会社分の負担も軽減できることを考えると、これはやっておくべき施策です。

利息ももらえます

また、役員借入金で会社から社長に、利息を受け取ることもできます。

受け取る利息は、給与所得ではなく雑所得になります(収入によって確定申告が必要)。

そのため、社会保険料の対象にならず、保険料を削減できます。

税金の面ではプラスになりませんが、社会保険料分は削減できるというわけです。

役員借入金の計上額が大きければ、返済額と利息の合わせた額分役員報酬額を減らせば、収入の金額はかわらないのに、それだけ削減効果があるということです。

「役員借入金」で社長の手取りを増やす方法

役員借入金の利息の目安
  • 役員が金融機関から借入をして融資した場合:その利率未満
  • その他の場合:前年11月の日銀基準割引率+4%未満

高い利率を設定すると否認される恐れがありますので、基準を参考に決めましょう。

役員借入金は放っておくと大変なことになります。

ちなみに、役員借入金は、決算書に載っても問題はありません。

実質、催促なし、返済期限なしの借金なので、金融機関によっては会社の資本金とみなすくらいです。

これが役員貸付金になると、お金にルーズな人間とみなされ、融資のときに不利に働きます。

しかし、だからといって、役員借入金を放っておくのはよくありません。

役員借入金を多額のまま放置しておくと、もし社長に万が一が起こったときに、相続財産にこの借入金が含まれることになります。

会社側から見ると借金ですが、社長側から見ると貸付金という財産になり、相続税の対象となるのです。

もし、相続財産の評価が1億円とつけば、貸付金も1億円の評価になります。

「貸付金はもっと少なかった」

といっても、もうときすでに遅し。

役員借入金を放っておいたことで、残された遺族は、とんでもない税金を支払う羽目になります。

相続税を支払うお金があればいいのですが、なければどうするんでしょうかね。

ですから、今は問題となってない役員借入金でも、どこかで解決しておかなくてはいけないのです。

社会保険料対策として、活用するのも方法です。

保証料で社会保険料を削減する方法

中小企業の社長は、融資のときには代表者の連帯保証を求められることがあります。

もし、会社の融資の保証人になっているのであれば、「会社」から「保証料」をもらうことができます。

プロパー融資以外の保証協会付き融資では、信用保証協会が保証をすることで借入が行われます。

その代わり保証協会は、金利とは別に「保証料」を徴収します。

それは、融資された企業が万が一返済不能になったとき、代位弁済するためです。

要はこの理屈と同じです。

会社の債務保証をしているということは、会社が返済不能に陥れば、それに代わって借金を背負わないといけないわけで、そのときのために「保証料」を受取ることができるというわけです。

会社から受け取る保証料は、役員報酬ではありませんから、社会保険料の対象にはなりません。

給与所得ではなく、雑所得になります(収入によって確定申告が必要)。

会社は社長に支払った保証料を、経費にすることができます。

保証料の決め方

保証料は信用保証協会の利率を参考にして決めます。

東京都信用保証協会の場合(責任共有保証料率表/一般保証 )

  • 1000万円超 担保なし:0.45%~1.90%
  • 1000万円超 担保あり:0.35%~1.80%

東京都信用保証協会/責任共有保証料率表

保証料率は2%でも否認されたケースもありますので、高く設定すると危険です。

保証協会の利率を参考に決めましょう。

事業を分けて社会保険料を削減する方法

どの会社でもできるわけではないですが、会社の事業を、A部門は「法人事業」。

B部門は「個人事業」と事業を分割します。

そして、会社からの役員報酬と、個人事業の所得を分けて受け取るようにします。

このとき、会社からの役員報酬は、最低限に抑えるようにします。

その反対に、個人事業の所得を厚くします。

社会保険は法人事業で加入することになり、個人事業での所得には社会保険料はかかりません。

ちなみに、東京都の保険料率で、最低等級の健康保険・厚生年金の額を見てみますと、介護保険第2号被保険者に該当する場合で

  • 月額給与:63000円以下
  • 健康保険料:労使合わせて6704円(個人負担分3352円)
  • 厚生年金保険料:労使合わせて16104円(個人負担8052円)

となります。

これは個人事業主が国民健康保険を削減するための逆バージョンパターンなのですが、かなりの額を削減するこになります。

詳しいロジックは下記記事をご参考にしてください。

個人事業主のための国民健康保険を削減する方法

ただ分けても意味がない。それは税逃れ?

ただし、法人事業と個人事業を分けるということは、ただ単に分けても意味ないわけです。

「取締役の競業避止義務」があるように、役員が同じ業務・業態で個人事業を開業すれば、それは法律に引っかかってきます。

また、税務署も黙っていないでしょう。

むしろ税逃れのための方法だと疑われてしまいます。

そうならないためにも、個人事業と法人事業を、きっちり文句がつけられないように分けておかないと、このスキーム自体意味がなくなってしまいます。

分ける際は、注意してください。

社会保険を削減することでの影響

社会保険料を削減するということは、

  1. 給料の総額が低くなる
  2. 納める保険料も少なくなる

という2つのことが起こります。

当然ながらそれによるデメリットも起こります。

年金が減る

厚生年金保険料の額も低くなりますので、将来受け取る年金(老齢厚生年金)も少なくなります。

ただし、現状の日本の年金制度を見ていると、デメリットとはいえない面もあります。

ご存知のように年金の財源不足から、支給年齢の引き上げ、高収入の年金受給者への増税などを検討を含め行っております。

このような状態を鑑みれば、将来の年金支給が止まる可能性は低いといっても、支給額の縮小は十分考えられます。

政府・与党は22日、会社給与や不動産収入など年金以外の収入が多い高齢者について増税する方向で調整に入った。

年金以外に年1000万円超の収入がある場合、年金収入から一定額を課税対象から差し引く「公的年金等控除」を縮小する案を軸に検討を進める。

2017年11月22日 時事通信社から引用

投資した以上に返ってくるかといえば、甚だ怪しいといわざるを得ません。

投資には割引率という考え方があります。

現在のお金の価値と、将来受け取るときのお金の価値を比べた場合、価値が大きいのは現在のお金です。

今100万円もらえるのと、1年後に100万円もらえるのでは、明らかに今100万円もらえる方が得なわけです。

1年後もらえるかどうかわからない100万円より、今確実にもらえる100万円の方が価値が高いということです。

そこで登場するのが「利率」です。

1年間お金を引き渡すのを待ってもらうのに、何%だったらその価値に見合うか、その基準が「利率」という数字に表れます。

1%だったら十分という人もいれば、他の金融商品に投資すれば5%の見返りがある、よって6%以上でないとダメという人もいるでしょう。

割引率とは(外部サイト)

年金も同じで、現在のお金を投入して、何%だったら、あなたが納得できるリターンがあるかということです。

もしないのなら、社会保険料を削減して浮いたお金を、別の投資なりビジネスに投入した方が、大きなリターンが得られるのではないかという話です。

将来見返りの少ないお金を得るために、それ以上のリターンを生み出すかもしれないお金を寝かしておくことに、どれほどのメリットがあるのか?その辺の天秤をよくよく計ってみなければいけません。

もちろん減るリスクはありますが。

社会保険料が減ると税金が増える

社会保険料はたしかに高負担ですが、控除になるので、所得税・住民税を減らしてくれる効果があります。

まんざら社会保険料の負担は、悪いことばかりではありません。

その分、社会保険料を減らせば、所得税・住民税は高くなります。

とはいえ、収入の額によっては、社会保険料の方が高いことになりますので、トータルでどのくらいお金が残るかをみなくてはいけません。

あなたは経営者です。

税金が減った、社会保険料が少なった、それだけをみていてもいけないのです。

正解は、社会保険料が減った、税金が高くなった、で、手元のキャッシュはどうなった?です。

逆も然り。

社会保険料が増えた、税金が安くなった、その結果、お金は増えたの?減ったの?です。

【中小企業向け】賢い法人税節税対策

役員退職金の損金算入限度額、死亡時の退職金・弔慰金に影響する

役員報酬の月額が低いと、

  1. 退職金の損金算入限度額
  2. 死亡退職金の損金算入限度額
  3. 弔慰金の非課税額

の3つに影響してきます。

退職金の限度額計算は、退職金の支給額を制限するものではありませんので、注意してください。

退職金はいくら支給しても良いのですが、会社の損金(経費)になる金額には限度額があるということです。

退職金の損金算入限度額と死亡退職金の限度額の計算は同じです。

・最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率+(功績加算30%まで)

弔慰金の非課税の限度額は

  • 業務上死亡の場合:死亡時の報酬月額×36カ月
  • 業務外死亡の場合:死亡時の報酬月額×6カ月

仮に、退職時(死亡時)の最終報酬月額が70万円で、在任期間が20年、功績倍率を3.0として計算すると

<退職金・死亡退職金の損金限度額>

・70万×20年×3.0=4200万円

<弔慰金>

・業務上死亡の場合:70万×36カ月=2520万円

・業務外死亡の場合:70万×6カ月=420万円

となります。

※功績倍率「3.0」は、功績加算30%を含んだ数字です。功績加算を30%にするなら、功績倍率は「2.3」にしなくてはいけないです。3.0以上は否認される可能性が高くなります。

ご覧のように、数字を求めるのに必ず「報酬月額」が入っています。

この最終報酬月額は、「通常は退職した役員の在職期間中における報酬の最高額を示すもの」という考えが、過去の裁決、判例の一貫した考えです。

つまり、低い報酬のまま、一般的な役員の報酬額で計算して役員退職金を支払ったとしても、否認されるリスクが高いということです。

ですから、退職を考える時期が来たときは、役員報酬月額を適正額に戻した方がいいのです。

【追記】

最終報酬月額が、極端に少ない、あるいは0円などのときは、「功績倍率法」ではなく、「1年あたり平均額法」で算出されることが多くなります。

この方法は、同業の役員退職金の1年あたりの平均額をベースに、自社の役員退職金を求める計算方法です。

しかし、この方法、同業の平均額のデータをどこから見つけてくるか?という問題があります。

さらに、適正と思われるデータを見つけて、それを基に計算したとしても、国税からは否認、地裁でも敗訴(平成28年東京地裁)したケースもあるのです。

だからこそ、「最終報酬月額」をはっきりした形で支払っておく必要があります。

そういう観点から考えれば、やはり役員報酬を社会保険料対策で、低いままにしておくのはリスクがあります。

役員報酬額は、あまりにも高いと高い部分は否認(損金にならない)されることになるので、退職金を多くほしいからと高く設定すると、損することになります。

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【重要】国がルールを作る権限を握っていることを忘れずに

この記事で解説した社会保険料削減スキームの、「事前確定給与届出」を使ったスキームと、「生命保険料」を使ったスキームですが、実行する際は、国がルールを作る権限を握っていることを忘れてはいけません。

法の抜け穴を突いたような方法は、すぐに対策されてしまいます。

たとえば、「支給回数が年3回までの手当は賞与、年4回以上の手当は報酬」という文言を逆手にとって、賞与分を毎月の給与に振り分けて支給していたようなケースでも、

ただし、給与規定等によりボーナス等を分割して毎月支給する場合については、通知上の「通常の報酬」(毎月支給されるもの)には含めないこととし、保険料算定に係る報酬額の算定に当たっては、1年間のボーナス等の支給額の総額を12で除して得た額を報酬額とする等、「賞与に係る報酬」(年間を通じ4回以上支給されるもの)として取扱うこととする。なお、この取扱いは平成27年10月1日から適用される(平成27年9月18日厚生労働省保険局保険課長・年金局事業管理課長連名通知)。

という通達を出されて、手を封じ込められました。

また税務面でも同じことで、不当に税負担を逃れようとする方法や、法の穴を突いたものはすぐに変えられてしまいます。

たとえば、「一般社団法人」を使った節税スキームの対策に、2018年から乗り出すと出ています。

政府・与党は相続税の過度な節税防止に乗り出す。一般社団法人を設立して相続税の課税を逃れたり、住宅を贈与して宅地にかかる相続税を減らしたりする節税策が広がっており、2018年度税制改正で具体的な対策を講じる。相続税は15年から始まった増税で課税対象となる人が増えており、節税策を封じて課税の公平性を確保する。(2017/11/30付日本経済新聞:引用)

「一般社団法人」を使った節税スキームはこうです。

まず親が代表者となって法人を設立し、資産を移します。

その後に子供を代表に就かせ、法人の支配権を継承すると、何と資産には相続税がかからないのです。

この仕組みを使えば、子供ばかりか、孫やその先の代まで、延々と非課税で資産を相続できるという、まさに夢の節税スキームです。

しかしこのような穴だらけ(そして不公平)の税法を、誰が放っておくのかということです。

だからこそ、不備が見つかった時点で隙間を整備されてしまいます。

「事前確定給与届出」を使ったスキームも、「生命保険料」を使ったスキームも、国にとって不都合なら、常にルールを変えられるというリスクがあることをお忘れなく。

まとめ

社会保険料を削減するには、基準となる給与の額を下げるしかありません。

しかし、ただ下げたのでは、報酬まで減ってしまいます。

そこでポイントになるのが、

報酬の一部を引き下げて、労働の対価でないものに変える

ことです。

今回ご紹介した5つの方法なら、報酬の一部は下げても、収入は変わらないので、「事前確定給与届出」を使ったスキームのように実生活が困ることはありません。

また、否認されるリスクもないです(基準を守れば)。

社会保険料削減対策に、ぜひご活用下さい。

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