運転資金とは

運転資金は、通常の会社運営していくのに必要な資金で、仕入れや諸経費のために使うお金です。

手元のお金が不足して仕入などができない場合、不足部分を銀行融資などでまかないます。

運転資金は

・売上債権(売掛金・受取手形)+棚卸資産-買入れ債権(買掛金・支払手形)

で計算できます。

この計算式は、貸借対照表から求められ、決算書作成時点で「いくらの運転資金が必要か?」その目安がわかります。

倒産する会社の資金繰り

運転資金のことをあらためて説明しなくても、毎日商売を行っている経営者なら、肌感覚で理解できると思います。

それだけに、資金繰りの重要性はよくおわかりだと思いますが、何ゆえ資金調達で苦しむ会社と苦しまない会社があるのでしょう?

それは、資金調達を考えるのもギリギリ、手持ちの現金もギリギリ、すべてギリギリで回そうとすることに原因があります。

その理由は「借金をしたくないから」です。

会社にお金がなくなれば、各方面への支払いができなくなり、会社継続はできなくなります。

逆にいえば、借金といえど、現金が潤沢にあれば会社が潰れることはないということです。

しかし、借金0でも会社に現金がなくなれば、あっという間に倒産です。

まず、このことを頭に入れておきましょう。

会社を存続させることを考えれば、借金することは、必ずしも悪いことではないのです。

仮に次のような2つの会社があったとします。

借金の額はB社の方が多いですが、実質の借金額は同じです。

でも、資金繰りの面から考えれば、手元にたくさんの現金があるB社の方です。

A社は借金そのものはB社に比べ少ないですが、手元資金が少ないため、何かのアクシデントがあれば資金繰りは苦しくなります。

このような小学生でもわかる理屈なのに、借金とはいえ資金繰りを楽にしないのは、「借金して返せるかどうかわからない」という不安があるからです。

だから、いよいよ資金繰りが回らなくなるまで、資金調達を拒むのです。

資金繰りがギリギリの状態で借入の申し込みをしても、銀行が2、3日で貸してくれるわけではありませんし、そもそもが審査に通るかもわかりません。

大事なのは、余裕のあるうちに資金調達を行っておくことです。

運転資金の融資の種類

銀行の運転資金の融資の種類は4種類に分けられます。

商業手形割引

商業手形割引とは、取引先の売掛金を手形で回収した場合、その手形を銀行に買取ってもらう形で資金提供してもらう方法です。

商業手形割引は、貸借対照表の借入金にならないため、決算書の財務内容の改善に効果があります。

もし、割引した手形が不渡りとなったときは、割引を依頼した企業に買取義務が生じます。

よって、手形割引の審査では、振出人の企業だけでなく、持ち込み企業(割引を依頼した企業)の信用状況も審査され、場合によっては断られるケースもあります。

手形貸し付け

手形貸し付けとは、約束手形を担保に入れて借りる方法です。

主に、返済期限1年以内の短期に貸付に使われます。

証書貸付

証書貸付は、「金銭消費貸借契約書」に署名、押印してお金を借りる方法です。

主に、返済期間1年を超える長期融資に使われます。

当座貸越

当座貸越は、融資の限度額を設定し、その額までは自由に融資を受けたり、返済できたりする方法です。

当座貸越は、いつでも借りたり返したりができるので、会社側にとっては、使い勝手が良い融資方法です。

その反面、銀行にとってはリスクがある方法なので、財務内容の良い会社でなければ審査は通らないという特徴もあります。

運転資金の種類

一口に運転資金といっても、前向きなものから後ろ向きなものまでいくつかあります。

前向きなものは銀行も貸しやすいですが、後ろ向きなものは当然、借りにくくなります。

借入のポイントは

  • 「○○の資金に使うので○○円貸してください」と「資金使途」を明確にすること。
  • その上で、返済財源の目途があることをきちんと説明すること。

この2つを明確に根拠を持って説明することで、融資の成功率は高まります。

極端な話、会社の運転資金で銀行は融資したのに、社長個人の株式投資に使われたのでは、返済に行き詰る可能性が高くなります。

本来の目的とは違う使途に資金を流用する、いわば、騙してお金を引っ張るような輩を信じれますか?という話です。

それに、説明できないプランでは、そもそもが貸倒になる可能性が高いでしょう。

ですから、資金使途を明確にすることが大事になるのです。

経常運転資金

経常運転資金は、仕入れ、生産、販売、回収という営業プロセスのズレから必要になる資金です。

 

通常商売は、商品の仕入れが先にきて、販売代金の回収が後になります。

その間のタイムラグを指します。

経常運転資金が増えると手持ち資金は減ります。

その反対に、経常運転資金が減ると手持ち資金は増えます。

増加運転資金

経常運転資金が増加した場合を「増加運転資金」といいます。

増加運転資金には2種類あります。

1つ目は、回収サイトや在庫期間が長くなり、その反対に支払いサイトが短くなった場合。

これは主に、取引条件の変化によって生じる増加運転資金です。

資金繰りが悪くなる原因でもあるので、あまり喜ばしいことではないです。

2つ目は、売上の増加によるものです。

通常、売上が増えれば仕入れも増えますので、それに比例して運転資金が増加するというものです。

銀行にとって、経常運転資金も増加運転資金も使途が明確なので、前向きにとらえる融資となります。

季節運転資金

季節運転資金は、シーズンによって起こる一時的な赤字を補てんする資金です。

具体的には、決算資金、賞与資金、あるいはオフシーズンでの売上減少など、単月の赤字です。

この運転資金は、赤字の月を黒字の月で補てんする形になります。

したがって、年間通して赤字の会社は、季節資金を借りても返せません。

決算資金や賞与資金は、使途が明確な運転資金ですので、銀行としては比較的取組みやすい融資です。

ただし、季節資金を融資してもらうには、損益計算書の経常利益が最低でも黒字でなくてはいけません。

繰り返しになりますが、季節資金は単月の赤字を埋める資金です。

全体で赤字だと、返済の目途が立たないことは明白です。

また、前々年、前年と、減収減益が続いていると、去年と同じ額を融資しても良いかを検討されます。

立替え資金

立替え資金は、

  • 回収サイトが長くなり入金まで時間がかかる
  • 一時的にだが、大量の在庫を確保しなくてはいけない

など、入金までの時間を補うための資金です。

ここで銀行が何を重視するかといえば、確かな「返済財源」です。

工事代金の立替え資金なら、工事請負契約書の原本を確認、そして工事代金の受取り口座を自行にするよう求められるなどの保全措置が取られます。

後ろ向き資金

後ろ向き資金は次のものがあります。

  • 赤字運転資金
  • 設備資金の借り入れ不足
  • 不良売上げ債権資金
  • 不良在庫資金

上記に該当する後ろ向き資金を申し込まれると、銀行は警戒します。

なぜなら、ほとんどの借入の目的が、事業のマイナス材料の補てんにあるからです。

借入を申し込まれた銀行がチェックするのは次の2点です。

  • 実態ベースで債務超過になっていなか?
  • 黒字体質かどうか?

この2つが大きなポイントになります。

そして借入の理由が、マイナス材料の補てんにあるだけに、銀行から事業の改善計画を問われます。

要するに、返済財源の目途がない(つきにくい)ため、経営計画書を作成して、今後利益を確保できる裏付けを説明しないといけないということです。

貸す銀行にしてみれば、当たり前のことです。

無担保の場合は、審査を通すのがむずかしくなるので、担保を入れたり保証協会を利用したりするこになります。

後ろ向き資金の借入が増えてしまった企業は、毎月の返済額が重くなり、その結果、返済資金を追加融資(ハネ資金、約弁資金)で補うことになり、借入依存体質になってしまいます。

リスケジュールに陥る会社が、その典型です。

設備資金

設備資金は、企業が売上拡大や売上維持のために、設備を購入したり建築するために必要な資金のことです。

設備投資で銀行から融資を受ける場合は、1年を超える長期の融資になります。

一般的に設備投資で得られる利益は、長期間になります。

そのため、設備資金を短期で返済しようとすると利益が追い付かず、資金繰りの悪化を招きます。

ちなみに、運転資金で借りたお金を、設備投資に使うのも資金繰り悪化の原因になります。

その理由は上記と同じで、運転資金の返済期間は短期なのに、設備投資で稼ぎ出す利益は長期になるからです。

稼ぐ方より出る方が多い、単純明快、資金繰りが悪くなる理由です。

設備資金で銀行が注目するのは

  • 「設備投資で得られる利益で返済可能か?」
  • 「もしできなければ既存の事業で返済できるか?」

の2点です。

ここで気をつけなくてはいけないのは、資金使途違反です。

もし、設備投資として融資を申し込んだのに、いざ実行されると、他のことにお金を使ってしまった場合(運転資金など)、一括返済を求められたり、今後融資が一切受けられなくなったりします。

資金使途違反に銀行は厳しいので、使途違反を軽く考えるのはやめましょう。

投資資金

投資資金とは事業拡大に使われるお金です。

  • 新事業の展開のため
  • 地方・海外へ進出するため
  • 新分野進出のための、会社買収や新規法人設立のお金

です。

投資に対するお金なので、万が一失敗するケースも考えられます。

そのため銀行は、投資資金に対して慎重です。

ゆえに、投資する事業の計画性が問われることになります。

今後儲かることを、根拠を持って説明しなくてはいけません。

ちなみに、赤字の会社が一発逆転を狙って、新規事業に進出しようとする場合、銀行は聞く耳を持ってくれないでしょう。

そりゃあだってそうですよね。

銀行にしてみれば、「一発逆転を狙う前に、本業で堅実に儲けて、お金を確実に返してください」という話で、本業も立て直せないのに、新規で運よく成功するわけがないとみる方が妥当です。

また、投資の経過を定期的に報告すると銀行からの信頼は高くなります。

ほうれんそうは、上司と部下だけでなく、企業と銀行にも当てはまります。

結果として、今後の融資にプラスに働きます。

運転資金の計算方法

必要な運転資金の計算法は最初にも書きましたが

(売掛金+受取手形+棚卸資産)-(買掛金+支払手形)

で求めます。

運転資金のシミュレーション

では簡単ですが実際にシミュレーションしてみます。

  • 売掛金:500万円
  • 棚卸資産:300万円
  • 買掛金:600万円

だった場合

500万円+300万円-600万円=200万円

となり、必要な運転資金は200万円と算出できます。

銀行からお金を借りる7つのコツ

銀行融資を引き出すためには、次の7つのポイントを押さえておくとスムーズにいきます。

  • コツ1・利益を出して税金を払う
  • コツ2・貸借対照表をキレイにしておく
  • コツ3・銀行に対して自分の言葉で業績を説明する
  • コツ4・資料をきちんと作る(申込依頼書、業績の概要など)
  • コツ5・お金の使い道を明確に説明する(とりあえず貸してくださいはダメ)
  • コツ6・今後の見通しを明確に説明する(事業計画・資金計画)
  • コツ7・過度に苦手意識や敵対心を持たず、一つの取引先と見る

コツ1・利益を出す

銀行は本業の利益を重視します。

本業以外の利益、たとえば株を売って得た利益などは評価しません。

本業の儲けこそが確実な返済財源だからです。

返済財源として見るのは損益計算書の、「経常利益+減価償却費」です。

ですから、損益計算書上でしっかり利益を出しておくことが大切です。

コツ2・貸借対照表をキレイにしておく

貸借対照表は、過去の経営のストック財産を表したものです。

この表を見ることにより、会社の現在の財務状況がわかります。

それゆえ貸借対照表のキレイな会社は、財務状況が良いと判断でき、融資を受けやすくなるのです。

ちなみに、キレイにとは粉飾決算のことではありませんので、誤解なさならいようにお願いします。

コツ3・銀行に対して自分の言葉で業績を説明する

資金調達のために自らプレゼンテーションする必要があります。

計画書を渡しておけば終わりではありません。

経営者が自分の言葉で話して、事業の将来ビジョン、返済の確実性を、自信を持って(ハッタリでも)訴えなくてはいけません。

しどろもどろの営業マンからは買わないように、プレゼンの場であたふたして質問に窮するようでは融資はむずかしくなるでしょう。

  • いくら借りたいか?
  • そのお金の使い道は?
  • 借りたお金はいつまでに返せるか?
  • その財源は?
  • その根拠は(事業の将来性)?

上記の質問に答えるには、資料作りをコンサルタント任せにしていてはダメです。

経営者が積極的に関わって、主導的立場で作る必要があります。

コツ4・資料をきちんと作る(業績の概要など)

融資の際には担当者により稟議書が作成されます。

その稟議書を持って、支店長の裁量により融資するかどうか決まります。

そしてこの稟議書ですが、融資の申し込みがあれば、誰それ構わず作られるというものではありません。

稟議書作成にはそれなりの手間がかかります。

審査に通りそうもない会社なら、最初から作る気になりません。

それゆえ、融資に値する価値があるかどうか、まず担当者をその気にさせる必要があるのです。

そのためには、しっかりした資料を提出しなくてはいけません。

いい加減なものなら、担当者がやる気になってくれないのです。

コツ5・お金の使い道を明確に説明する(とりあえず貸してくださいはダメ)

資金使途は必ず聞かれる項目です。

さらに、融資の審査にも大きく影響してきます。

資金使途を明確に説明できなければ、財務内容の良い会社でも融資がむずかしくなるくらいです。

銀行が求めるのは、返済の確実性です。

仮に事業資金で融資したのなら、それは事業で返済できると見込んだからでしょう。

にもかかわらず、経営者個人が株で使ってしまったのなら、返済の見込みが立たなくなります。

これは銀行が最も恐れることです。

資金使途違反については、一括返済、または今後の融資不可となりますので、注意が必要です。

コツ6・今後の見通しを明確に説明する(事業計画・資金計画)

繰り返しになりますが、銀行が知りたいのは、「返済の確実性」です。

  • 返済財源はどこなのか?
  • 今後の事業の見通しは?
  • 仮に失敗した場合、どうやって返済するのか?
  • なぜそういえるのか?その根拠は?

ということに答えられれば、返済の確実性を明確に説明することができます。

お金を貸す側としては当たり前ですよね。

貸したお金が返ってこない不安を解消する必要があります。

コツ7・過度に苦手意識や敵対心を持たず、一つの取引先と見る

お金を貸してくれるからといって、銀行様様と変にかしずく必要はありません。

媚びたところで、貸してくれるかとは別の話です。

かといって、敵対心を持って交渉すれば、まとまる話もまとまらなくなります。

敵対心を持つ人に、誰が力を貸そうと思うのでしょう。

銀行は取引先相手の一つと考えて(現に金貸しという商売です)、リラックスして交渉に臨みましょう。

運転資金の借入の優先順位はこう考える

ちなみに、融資の優先順位の基本は次の通りです。

1・銀行でのプロパー融資

2・銀行での信用保証協会付き融資、もしくは政府系金融機関での融資

3・銀行でのノンバンク付き融資

4・ノンバンクからの融資、または資産売却(ファクタリング・固定資産リースパックなど)

5・知人からの資金調達

銀行でのプロパー融資を第一にする理由は、プロパー融資には金額の上限がないからです。

それに対し、政府系金融機関、信用保証協会付き融資、ノンバンク保証付き融資は、借りる金額に上限があります。

つまり、まず、プロパー融資が可能なら受けておく。

それで

  • 借入額が足りない
  • 将来の融資に備えて枠を空けておきたい

ときのために、政府系金融機関、信用保証協会付き融資、ノンバンク保証付き融資での融資を残しておくのが基本です。

ただし、保証協会付きや政府系金融機関より、プロパー融資の審査は厳しくなります。

ノンバンクはできるだけ使わないように、優先順位は低くしておきましょう。

プロパー融資、政府系などより金利が高いことはもちろんですが、ノンバンクから借りていることがわかってしまうと、政府系・民間金融機関共に、今後の融資に於いて、審査でマイナスポイントになります。

各借入先の特徴

それでは、各融資の申し込み先についても軽く説明しておきます。

信用保証協会付き融資

プロパー融資を受けられない会社が、次に考える借入先です。

創業したばかりの会社や、創業2~3年など、年数の経ってないところで、銀行からまだ融資を受けたことがない会社は、信用保証協会付き融資、または国民政策金融公庫の国民生活事業で融資を考えるのが基本です。

この融資の特徴は、保証協会が保証人になってくれることで、銀行からの融資を借りやすくしてくれるものです。

そして信用保証協会付き融資への申し込みは、銀行融資へのスタートになります。

ここで躓くようなことがあれば、今後銀行から資金調達する場合、とても苦労することになるということです。

はじめて信用保証協会付き融資に申し込むときは、これからの資金調達がかかっていることを忘れず、慎重に臨みましょう。

政府系金融機関

政府系金融機関は、利益を上げることが目的ではないことに特徴があります。

営利よりむしろ、企業の育成を金融面から支え、経済を活性化させるという使命を持って運営しています。

政府系金融機関の種類には

日本政策金融公庫(国民生活事業):小規模企業・自営業者向けの取り扱いが多い。創業者向け融資も出してくれやすい。

日本政策金融公庫(中小企業事業):国民生活事業よりも大きな規模の企業に対応。設備投資など、金額が大きく返済期間が長いものの取り扱いが多い。

商工組合中央金庫:国民生活事業より、比較的大きな規模の企業に対応。

があります。

ノンバンク

ノンバンクで借入れる場合は、なるべく個人での借入を考えます。

会社で借りると、決算書に付随する書類の中で、ノンバンクで借りていることが記載されてしまいます。

銀行、信用保証協会、政府系金融機関は、ノンバンクからの借入を厳しくみますので、今後の審査でマイナスになってしまいます。

しかし、経営者個人での借入なら、会社への貸し付けは「役員借入金」と記載されます。

要するに、決算書を傷めなくて済むということです。

もちろん、経営者の個人情報を見られれば、それはすぐバレてしまうことですが、相手が気づかないのであれば、それはそれでOKでしょう(故意に隠すという意味ではなく)。

このような理由から、ノンバンクで借りる場合は、会社ではなく個人を優先させます。

実際の運転資金の返済の流れをシミュレーション

ではここで、実際の銀行からの運転資金の返済の流れをシミュレーションしてみましょう。

毎年いくら返済して、その結果いくら手元資金が残るか?これを把握してないと、資金繰りはいつまでも改善できません。

それどころか、現実を把握してないのは非常に危険です。

とくに追加融資を受けたときが、実は一番危いのです。

まずは、利益と返済の流れを把握して、

  • 現状の分析
  • 借入が増えることでの資金繰りの状況

などをシミュレーションしてみましょう。

未来を予測することで、資金繰りの悪化を防ぐことができます。

キャパオーバーです

では、シミュレーションしていきます。

次のような損益計算書の会社があったとします。

当期純利益は、108万円の黒字です。

しかしこの会社には

  • 借入残額:1200万円
  • 金利:3%
  • 残り返済期間:10年
  • 返済方法:元金均等

の借金がありました。

残りの運転資金の返済計画は下図の通りです。

 

実は、現在の状態で返済すると、今期で赤字(マイナス12万円)になることがわかります。

企業の返済能力を見る場合、「経常利益+減価償却費-法人税」で限界値がわかります。

この会社だと、この年は約108万円が、返済できる限界となります。

となると、借金の元金部分が120万ありますので、マイナス12万円のキャパオーバーとなることがわかります。

この不足分をカバーするには、どこからかお金を調達してこなくてはいけません。

追加融資で息を吹き返しますが・・・

そこで、銀行と交渉をして、新たに200万の融資をしてもらうことになりました(この状態で追加融資してもらえるかどうかの突っ込みはなしでお願いします。これはあくまでわかりやすい例題です)。

借入条件は以下の通りです。

  • 融資額:200万円
  • 金利:5%
  • 返済期間:5年
  • 返済方法:元金均等

<返済計画>

 

するとどうなるか?

借りた運転資金が入ってきますので、毎年の返済額が増えたとはいえ、その年の資金繰りは一気に楽になります。

借金返済後の手元資金も132万円にまで増えています。

追加融資の罠。5年目にはマイナスという現実

では、このままの売上と利益の状態で、返済を続けていくとどうなるか?

次の年から手元資金は減りはじめ、5年目にはマイナスになることがわかります(追加融資からは4年目)。

銀行からの新たな借入でも、運転資金が増えたことで安心してしまいますが、実は社長に残された期間は3年しかなかったのです。

赤字に転落する前までに、売上を上げるなりコストカットをするなりして、利益が残る体質にして、資金繰りが回るように改善しておかなくてはいけなかったのです。

少なくとも、返済の元金部分を超えるよう、当期純利益が160万以上残るようにです。

これは状況変化のないシミュレーション上のことなので、何も手を打たなければ、現実にはもっと早く赤字になると考えた方がいいでしょう。

リスケに陥る経営者の特徴

リスケに陥る会社も、これと似たような勘違いを起こします。

毎月の返済がいくらなのか把握していますが、2年目以降の返済の流れを見てないのです。

だから新たな銀行借入の運転資金でも、資金が入れば楽になるので、能天気にも売上アップやコストカットのことを先送りしてしまいます。

ゆでカエルじゃありませんが、こうして、経営者の気づかないところで、資金繰り悪化がジワジワ進んでいきます。

そして気づいたときには火の車です。

シミュレーションしていれば、未来に何が起こるかわかるはずなのに、です。

借入で苦しまないためには返済のシミュレーションをしておくこと

返済をシミュレーションできれば、今後返済に行き詰らないか、借りる前の段階で予測できます。

もし借りられても、2、3年後に赤字になるとわかれば、打つ手もかわりますし、場合によっては撤退も検討しなくてはいけません。

それに何より、立て直すぞという、経営者の覚悟が違ってきます。

借入の前は、きちんとシミュレーションをしてみましょう。

ビジネスで生き残るには、計算能力が必要です(とくに経営者なら)。

まとめ

一口に運転資金といっても、銀行が前向きにとらえてくれるものから、後ろ向きなものまでいくつか種類があります。

それにより、借入の難易度も変わります。

借り入れをスムーズに行うためには、特徴を抑えて、それぞれに合わせたプレゼンと資料作成が必要です。

銀行からの運転資金の借入の際は、この記事を参考にしてみて下さい。

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