エクセルの「What-If分析」を使えば、いくつかのシナリオをシミュレーションすることができます。
今回は、リスティング広告をシナリオ分析してみます。
広告のデータを用意
次のような、リスティング広告のデータがあります。
- 売上単価:7000円
- コンバージョン数:5件
- クリック数:1342
- クリック単価:70円(ディスプレイネットワークを含む)
- コンバージョン率:0.37%
- ROAS:37.3%
はっきりいって、成績は良くありません。
コンバージョン率も低くいです。
ちなみにいっておきますと、ROASが100%切っているので完全な赤字に見えますが、実はこれ、LTV(ライフタイムバリュー)を含めてませんので、こような数値になっております(つまり、初回のみの価格)。
ですので、リピートを含めた一人あたりの総売上の平均にすると、また数値が違いますのであしからず。
ROASについては
・リスティング広告運用で絶対知っておくべき3つの指標/CAP、ROAS、ROIとは?
LTV(ライフタイムバリュー)については
2つのシナリオ
では、この数値を改善すべく、コンバージョン数を2倍にした場合、次の2つのシナリオが考えられます。
- 初回単価を下げ獲得数を2倍にする(クリック数とクリック単価は同じ)
- クリック単価を上げクリック数を増やして2倍にする(初回単価は同じ)
このとき現状と比べ、それぞれの数値がどのように変化するかシミュレーションしてみます。
「現状」のシナリオを作成
シミュレーションの前に、比較しやすいよう現状の数値を登録しておきます。
「データ」→「What-If分析」→「シナリオの登録の管理」
シナリオと登録の管理のパレットを開き、「追加」ボタンをクリックし、
「シナリオの追加」パレットを開きます。
「シナリオ名」に「現状」と入れ(シナリオ名は自分の分かる名前で)、「変化させるセル」に「売上単価」「コンバージョン数」「クリック数」「クリック単価」のセルを選びます。セルを複数選ぶときは、「Ctrlキー」を押しながらクリックします。
各項目を入力したらOKボタンを押します。
「シナリオの値」パレットが出てきますが、このシナリオは現状の状態ですので、数値を変化させずにOKボタンをクリックします。
これで、現状のシナリオが登録されました。
初回単価を下げ獲得数を2倍にするシミュレーション
では次に、初回単価を下げ獲得数を2倍にする(クリック数とクリック単価は同じ)シナリオを入れていきます。
「シナリオの登録と管理」のパレットから、追加ボタンを押します。
「シナリオの追加」で「シナリオ名」を入力し(シナリオ名は自分でわかるもの)、「変化させるセル」はそのままにして、OKボタンを押します。
「シナリオの値」パレットを開かれるので、「変化させる値」を入力します。このシナリオは「初回単価を下げ獲得数を2倍にする(クリック数とクリック単価は同じ)」ですので、「売上単価」と「コンバージョン数」を変化させます。このケースでは、売上単価を5000円まで引き下げて、コンバージョン数が10に増えたケースをシミュレーションしてみます。
単価下げバージョンのシナリオが登録されました。
シミュレーション結果
では、単価下げバージョンをシミュレートしてみます。
シナリオの「単価下げバージョン」を選択して「表示」を押します。
すると数値が変化しました。
単価を下げてコンバージョン数をアップすることで、ROASがアップしました。
ということは、現状の売上単価で集客するよりも、単価を下げて獲得数を増やした方が、全体の利益はアップするということです。
コンバージョンアップのため、集客用の単価を下げるのを検討してみるべきでしょう。
感度分析でROASを算出する方法
ちなみに、コンバージョン数が同じで、単価を変化させることでのROASの変化を知りたい場合も、「What-If分析」を使えば簡単に数値を求めることができます。
まず、適当なセルに、ROASの数値のセルが表示されるようにします。
次に横軸(行)に単価(今回は1000円単位)、縦軸(列)にコンバージョン数を入れます。
対象範囲をドラッグして選択した後、「データ」→「What-If分析」→「データテーブル」を選びます。
すると「テーブルデータ」が開かれるので、基準となるセルを入力します。行は単価のセル、列はコンバージョン数のセルを入力します。
入力したらOKボタンを押します。
すると、各単価ごとのROASが求められます。
クリック単価を上げクリック数を増やして2倍にするシミュレーション
次は、クリック単価を上げクリック数を増やして2倍にする(初回単価は同じ)のシナリオを作ります。
「データ」→「What-If分析」→「シナリオの登録と管理」→「追加」で、「シナリオの追加」パレットを開き、シナリオ名を入れます。
このシナリオは「クリック数増加バージョン」とします。
シナリオ名を入れたら「シナリオ値」の変更をします。このシナリオは「クリック単価を上げクリック数を増やして2倍にする(初回単価は同じ)」ですので、コンバージョン数、クリック数、クリック単価の値を変更します。
コンバージョン数を10にするために、クリック単価を20円増やし、クリック数を1800まで増大させたという設定で、シミュレーションします。数値を入力したらOKを押します。
シミュレーション結果
クリック増大バージョンというシナリオが登録されました。「表示」をクリックしてシミュレーション結果を見ます。
獲得単価(CPA)は下がり、ROASは上がりました。しかし、広告費用も同時にアップしたので、広告費用に見合った集客かを考えなくてはいけません。
このように、エクセルの「What-If分析」を使えば、良い、悪い、普通などのシナリオを作ってシミュレーションすることができます。
まとめ
今回は、実際にリスティング広告に出稿しているランディングページのデータを使って、シナリオ分析をしてみました(数値は少しいじってます)。
このようなシミュレーションをすることで、どの部分を変えることで、集客の費用対効果がどうなるのかを割り出すことができます。
そういうことがわかればこそ、的確な(少なくとも外れのない)マーケティング戦略を選択することができます。
絶対にやってはいけないこと。
それは、えいやあで何の目安もなく決めてしまうことです。
エクセルの「What-If分析」を使って、間違いのない戦略を採用しましょう。
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