会社を潰さないためには、一にも二にもキャッシュを詰まらせないことが重要です。

借金は借金を呼び、利息の増大と元金返済で、会社の資金を食い潰します。

自己資金で賄えなければ、借金で回すしかなく、こうなるとチャリンカー(自転車操業)へまっしぐらです。

そうならないためには、日ごろから資金繰りがよくなるよう取り組むべきでしょう。

この記事では、資金繰り悪化の原因と、その改善方法を解説します。

資金繰り改善のお役立てください。

資金繰りを悪化させる10の原因

【原因1】返済能力を超えた借入金の返済

借金の返済が滞りなく回るのは、収入に見合った返済額に収まっているからです。

返済能力を超えた借入金の返済は不足額が生じ、内部留保の切り崩しか新たな追加融資が必要になります。

いずれにせよ、キャッシュアウトがどんどん大きくなり、資金繰りを圧迫します。

ちなみに、会社が借金の返済に回せるお金は

借金返済に回せるお金=経常利益+減価償却費-法人税等

で算出できます。

この計算式は、金融機関が融資の際、企業の返済可能額を見る指標にもなります。

経常利益とは、営業利益から支払い利息などの営業外の損益を差し引いた後に残るお金。

減価償却費とはざっくりいうと、キャッシュアウトの生じない経費で、この償却費の分だけ実際にお金が残ります。

そこから法人税等を引いたお金が、最終的に企業の手元に残るお金です。

企業の利益の大半は、基本本業からしかないわけで、よって「経常利益+減価償却費」が企業の返済原資になるのです。

仮に次のような損益計算書の場合

年間の返済可能額は

・480(経常利益)+100(減価償却費)-160(法人税等)

で420が年間返済可能額になり

420÷12カ月で

月の返済力は35と求められます。

 

余談ですが、返済利息は「払う」もので、元金は「返す」ものです。

ですから、「払う」返済利息は損益計算書に計上されますが、「返す」元金は損益計算書には計上されません。

元金を返すことは儲けとは関係ないからです。

よって、元金返済部分は経費にならないので注意が必要です。

 

ということは

経常利益+減価償却費借金の元金返済額

でないと、元金を返済するだけの利益(キャッシュ)がないことになります。

何度もいいますが、元金の返済は損益計算書の収支とは関係がないからです。

ですから、

経常利益+減価償却費借金の元金返済額

だと、自己資本や社長の個人的な財布からキャッシュを出したり、追加の借金で返済を行ったりしないと返済ができません。

つまり、「経常利益+減価償却費<借金の元金返済額」の状態は、資金繰りのやりくりでどうにか借金を回しているだけであり、元金の返済はできてないのです。

まさに自転車操業。ちなみに、自転車操業で借金を回している人を「チャリンカー」というそうです。

元金が減っていなければ、利息の支払いも減りませんし、むしろ追加融資を受ければ返済額は増えますね。

だから、借金で首の回らないチャリンカーのごとく、どんどん資金繰りが厳しくなるのです。

【原因2】現金残高を把握してない

通帳の残高は確認しているでしょうが、どんぶり勘定ではいけません。

何より「毎月の運転資金がいくら必要か?」を把握してないと、急な支払いはもちろんのこと、最悪資金ショートを招くでしょう。

そこで、必要な運転資金を求めるのに使うのが「経常運転資金」です。

企業が仕入れ・生産・販売といった企業活動、営業活動を行う場合に必要になる資金のことを言います。

計算式は

経常運転資金=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産-仕入債務(買掛金+支払手形)

で求められます。

 

売上債権は、販売したのに現金化できてないお金で、棚卸資産は在庫として寝かしてお金です。

その逆に、仕入れ債務とはあなたが取引先に掛けで買っているお金です(つまり手元にあるお金)。

上記の図の通り、資産となる「売上債権+棚卸資産」から仕入れ債務を引いた差額分が、運転資金として必要になるお金、つまり、経常運転資金なのです。

 

一般的に、資金繰りは小さい方が楽になります。

仕入れ債務に対して、売掛金と棚卸資産(在庫)の額が小さくなれば、用意すべき資金も少なくて済みます。

 

逆に、仕入れ債務に対して売掛額と在庫が多くなれば、必要な運転資金は多くなり、資金繰りは悪化します。

ちなみに、金融機関は経常運転資金を見て貸出金額を決めます。

 

運転資金を「期間」で見る

運転資金の管理は「CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)」で行います。

先ほどの経常運転資金は「お金」で算出するのに対し、CCCは「期間」で求めます。

CCCは、仕入れから販売して、現金回収までの日数を表すもので、短いほど資金繰りが良くなります。

逆に、CCCが長ければ、在庫や売掛金が長期で滞留していることを表し、現金として手元にくるのが遅くなります。

それすなわち資金繰りの悪化です。

<CCC算出方法>

・売上債権回転期間(日)=(受取手形+売掛金+割引手形+割引手形+裏書譲渡手形)÷売上高×356日

 

・棚卸資産回転期間(日)=棚卸資産÷売上原価×365日

 

・買入債務回転期間(日)=(支払手形+買掛金)÷売上原価×365日

で各値を算出します。

※分母に「売上原価」ではなく「売上高」を用いる場合があります。

 

その値を次の式で計算すると

CCC=売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間

CCCが求められます。

 

仮に次のような推移の財務状況だったとします。

 

これをCCCで見てみるとこうなります。CCCの単位は「日」

 

1期から2期は売上アップしてますが、売掛金と棚卸資産が増大し、CCCが長期化して資金繰りが悪化したことが見て取れます。運転資金も増大しています。

 

3期目は2期目の状況を受けて改善した結果、売上増にもかかわらず、売掛金と棚卸資産の圧縮に成功し、CCCが短縮され資金繰りが良好になりました。運転資金も縮小しています。

 

ただ、自社のみの数値で良いのか悪いのか考えていてもわからないので、業界平均値と比べてみましょう。

業界と比べて日数が長いようなら、まだまだ改善できる点があるということです。

【原因3】急激な売上アップ

急激な売上アップも資金繰りの悪化を招きます。

商品が予想以上に売れてウハウハなのは良いのですが、イケイケドンドンで勢いに乗って売ると、それに比例して仕入れ債務も大きくなります。

たとえば下記の図のように、売上が2倍になれば運転資金も2倍になります。

売上が2倍になっても、お金が回収できなければ手元資金は増えませんので、資金繰りは苦しくなります。

これが売上アップで資金繰りが悪くなる原因です。

急な売上アップで必要な資金を「増加運転資金」と呼びます。

しかし金融機関は、増加運転資金を前向きな資金ととらえてくれるようです。

ですから、融資もされやすくなります。

【原因4】利益の幅が小さい

「粗利益はそのビジネスのガソリン」といわれるように、利益はキャッシュを生み出す源泉ですので、ここが少ないと投資もできず、ビジネスが衰退していくことになります。

利益が少なすぎれば、経費や借金の利息を支払った後が赤字になります。

それを補うに、借金で借金を回す自転車操業に陥ったり、自己資本を食い潰すことになります。

その行き着く先は、倒産の手前、債務超過です。

利益の幅を上げるには

  • 経費の削減
  • 販売単価のアップ
  • リピート率のアップ

を行わなくてはいけません。

支出のコントロールは外部の影響を受けませんので、経費削減を行えば、その月から手元資金が確実に増えることになります。

販売単価のアップは、実は少ない単価アップでも着実に多くの利益を残せることになります。

仮に売上が3%増えれば、下図のように利益は37.5%も増えることになります。

 

理由は、新規集客のように、大きな広告費(経費)がかからないからです。

経費がかからないので、少ない売上アップでも、利益に対してインパクトがあるのです。

 

では新規集客で売上アップをするなら、37.5%の利益アップするのに、いくらの売上額が必要になるでしょう?

仮に新規集客を行うため、広告宣伝費に10万円、集客数が増えたことで人件費が5万円余分にかかると考えると、売上では272.5万円必要となり、3%と値上げした場合に比べ、15万円も多く売上を作らなくてはいけません。

 

客単価アップと新規集客数アップ、どちらが達成しやすいかは明白です。

 

客単価アップするためには、商品やサービスをどう表現して魅力をアップするかが、重要になってきます。

下記記事を参考にしてみて下さい。

Webライティング心理学入門。人が購入を決める10パターン

実証済みの方法論。チラシ集客のためのライティングテク6選

SEOを超えた心を動かすWEBライティングの書き方全手法

リピート率アップもしかり。結局リピートが利益の大きな部分を握っているわけで、リピートしてもらえないビジネスは早晩つぶれることになります。

リピート率の改善も、利益アップには大切な施策です。

お客様を固定客に変える魔法のサンキューレター

売上アップに効果絶大!「リスト」を活用する方法

会員を集めて売上アップする方法。店舗のためのリスト活用術

【原因5】過剰な在庫

過剰な仕入は不良在庫の原因です。

過剰な仕入れが「増加運転資金」のように、売れて在庫が足りなくてならOKですが、売れない不良在庫は、倉庫でお金が眠っている状態です。

資産には計上されますが、実質にっちもさっちもいかない塩漬けと同じです。

在庫が増える原因は

  • 売れる予測が外れた
  • 品切れを怖れた多めの発注
  • 安さ目当てのロット単位の発注

などです。

在庫を増やさないためには、CCCの項目で出てきた「在庫回転期間」を指標にします。

算式は

・在庫回転期間=棚卸資産÷売上原価(または売上高)×365

あるいは

在庫回転期間=棚卸資産÷平均月商(年間売上÷12カ月)

です。

在庫回転期間を使った分析が活きてくるのは、少なくとも四半期に一度のベースで計算することで、やはりマメさが必要です。

データは、各期を時系列で比較して、在庫回転期間が長くなるようであれば、悪い異変が起きている兆候です。

  • 徐々に売れない在庫が増加してきている
  • 売上に対し過剰に在庫を仕入れている
  • 仕入が高くなってきている

などの原因が考えられます。

悪い芽は早めに見つけて対処する、これが原因の悪化を招かない最善の対処法です。

経営にはデータの活用が欠かせません。

【原因6】取引先の経営悪化

取引先の経営が悪化すれば、貸倒の危険性が出てきます。

いわゆる焦げ付きです。

払えといっても無い袖は振れないわけで、やはり経営悪化の兆候を見つけて、貸倒れる前に最小の被害で食い止めることが大事です(そうはいってもなかなかできない面もありますが)。

ちなみに、回収をがんばっても、債権が回収不能になれば貸倒損失に計上することになります。

計上するには次の条件があります。

  1. 債権が、会社更生法や民事再生法の更生計画、会社法の特別清算の協定許可の決定によって切り捨てになった場合。
  2. 債権者集会の協議によって債権が切り捨てられた場合。
  3. 相手方の赤字が大きくなった、いわゆる債務超過の状態が長い期間続き、返済が受けられず、債権放棄書の通知を送った場合。
  4. 相手方の支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止したときから1年以上経過した場合。

ただし、貸倒損失の計上については、法人税法上厳しい条件があります。

上記条件の1、2は問題ないのですが、3で貸倒損失が認められるには、

  • 相手方の会社が、資産より負債が大きなってしまったとき
  • 債権放棄の通知を相手方に送付したとき

でなければ、貸倒損失には認めないということなのです。

法人税法はお金を取る側が作る法律ですから、会社の利益がなるべく多くなるように作られています。

相手方の支払いが困難になったからといって、すんなり貸倒損失を認めてくれるわけではないのです。

損を税務署に認めてもらうには、必要書類を揃えておく必要があります。

【原因7】売掛金の回収サイトの長期化

取引先の経営状態の悪化にも似ていますが、売掛金の回収サイトが延びると資金繰りは悪化します。

資金繰りが悪くなる理由の一つは、回収より支払いの方が先にくるからです。

実際の商売は仕入れと支払いが先にきますから、常にお金が不足することになります。

ですから、支払を済ませてからの、売り先の入金の期間が長くなるほど、資金繰りは悪化します。

売掛金は「回転日数」でチェックします。

計算式は

売上債権回転日数=(売掛金+受取手形)÷(年間売上÷365日)

売掛金500万に手形が100万、売上が6000万円なら

・(500+100)÷(6000万円÷365日)=36.6日

となります。

これも各期のデータを見比べてみて、長くなっているようなら、売掛金の回収に何か問題が発生しているということです。

数字を見て、マメなチェックが必要です。

 

ちなみに金融機関は、勘定科目内訳書で売掛金の内訳をチェックします。

売掛の内訳には相手先の名前と金額が記載されています。

そうすると、2期連続で同じ相手に同じ額が売掛金として載っていれば、金融機関は「回収不能になった売掛金ではないか?」と疑います。

意図的なら粉飾ですが、実際相手が倒産状態なら、たとえ貸借対照表上は資産と計上されていても不良債権として除かれます。

【原因8】買掛金の支払いサイトの短期化

買掛金の支払いサイトが短くなると、資金繰りは悪化します。

回収より支払いの方が早く到来するので、その日数分、資金繰りが苦しくなります。

それに輪をかけて売掛の回収サイトが延びると、さらに苦しくなります。

ですから、買掛金の支払いサイトは、なるべく長くする方が資金繰りは良くなります。

ちなみに、買掛金の指標に「売上債権対買掛債務比率」があります。

算式は

売上債権対買掛債務比率=(売掛金+受取手形)÷(買掛金+支払い手形)

で求めます。

数値は、売掛金の方が大きい100%以上あるのが望ましいです。

逆に100%を切るなら債務の方が大きいということなので、運転資金を圧迫していることになります。

買掛債務を期間で見るには、CCCで算出した

買掛債務回転期間=(支払手形+買掛金)÷売上原価×365日

で求めれば、長くなったのか短くなったのか各期を比較すればわかります。

【原因9】経費の無駄使い

経費を圧縮できれば利益が残ります。

その当たり前の理屈を理解しながら、何ゆえ経費を無駄に使ってしまうのか?

それには「節税」が大きくかかわってきます。

そう、「経費を計上すれば節税になる」からです。

会社の節税法は大きく分けると次の4つです。

  1. お金が出ていく節税法
  2. お金が出ていかない節税法
  3. 税金の額が減少する節税法
  4. 税金の支払いを繰り延べる節税法

経費を使った節税法の多くは、お金が出ていく節税法です。

たしかに、経費を計上できれば、その分は法人税が圧縮されます。

しかしそれと同時に、キャッシュも目減りしてしまうことを見逃してはいけません。

500万の利益が出れば、500万の経費を使って利益を0円にしないと法人税がかかります。

たとえば1000万の売上で500万が経費だったとします。

この場合法人税が40%で

・(1000万-500万)×40%=200万

利益から法人税を引いてやると

・1000万-500万-200万=300万

が手元に残る資金です。

 

ですが、節税対策のため経費を仮に700万まで使えば、

たしかに法人税は

・(1000万-700万)×40%=120万

に節税できますが、それと同時に

・1000万-700万-120万=180万

と手元のキャッシュまで減ってしまいます。

法人税200万円を払いたくないだけで、手元資金を180万円まで減らしてしまう、、、

こうして良かれと思った経費を使った節税で、資金繰りの悪化を招くのです。

キャッシュアウトの生じる節税には注意が必要です。

【原因10】節税対策のやりすぎ

経費の無駄遣いにも通じますが、節税のやり過ぎは資金繰りを悪くする原因になります。

基本、節税を実現するためには、何らかのキャッシュアウトが生じ、それゆえ手元資金が目減りします。

利益が出ている以上は、法人税がかかります。

ところで、なぜ社長は会社の経費でものを買いたがるのでしょう?

いわゆる経費で落とすということです。

それには「所得税」が大きく関係しています

個人の所得は、その収入の額の大きさによって所得税が変わります(累進課税)。

給料が1800万円超で40%(住民税込みで50%)、4000万円超なら45%(住民税込みで55%)です。

仮に給料が1800万の人が100万円の車を購入する場合、個人で買うと税負担が50%(所得税40%+住民税10%)なので、実質200万円の原資が必要になります。

それが会社で購入すれば、所得税がかかる前のお金で買えますので、100万円のもは100万円支払えば購入できます。

さらに、会社名義で購入すれば、経費になって法人税も圧縮できます。

このように、個人で買うよりも法人で買った方が、何かとお得なわけでして、それを知ってしまえば、個人で買うのがバカらしくなるでしょう。

が、ここに落とし穴があります。

節税をしすぎて、必要以上に会社の利益を喰ってしまうのです。

そうして手元資金が枯渇、、、

 

そしてここからが重要なのですが、節税をやり過ぎると、会社の「内部留保」がたまりません。

内部留保が年々たまっていって、自己資本が大きくなり、会社の経営が安定してきます。

利益を圧縮して税金から逃れることは、会社の安定にとって大事な内部留保を阻害してしまうのです。

内部留保がたまらなければ、自己資本比率も低いままです。

自己資本比率の低い会社は、経営が脆い会社なので、何かのアクシデントですぐにぐらつくことになります(だってキャッシュがたまってないのですから)。

安定した資金繰りにするには「どれくらいの現金」が必要か?

ちなみに、安定した資金繰りには「最低でも月商以上の現預金が必要」といわれています。

現に業種を問わず「年商×8.3%」が、平均的な会社の現預金残高です。

年商の8.3%は、だいたい月商程度となります。

それに対し倒産した会社の現預金は、年商の2~5%と低くなります。

現預金の残高を売上ベースでみるのは、必要なキャッシュの額は会社の規模によって変わるからです。

年商が5000万円の会社と5億円の会社では、必然的に必要なキャッシュの額も変わります。

いずれにしてもキャッシュが少ない状態は、経営者の心にも安定をもたらしません。

心に余裕がなければ、発想も貧困になってしまいます。

それを避けるためにも、キャッシュが潤沢になるように次のような資金繰り改善策を行いましょう。

資金繰りを改善する6つの対策

【対策1】資金繰り表の作成

資金繰りは、「勘定あって銭足らず」を避けるために作っておくべき管理表です。

もっとも、本当に資金繰りに余裕のある会社は、月次の業務管理で十分で資金繰りで表で管理したりはしないそうです。

資金繰り表で管理が必要なのは、資金繰りが苦しくってきている企業で、いよいよになれば、月から日繰り表なってきます。それだけ切迫しているということです。

資金繰り表はいろいろなタイプがあります。

下記は、キャッシュフロー表を基にした資金繰り表です。

 

資金繰り表は、実績をまとめたものと、将来のお金の流れを予測した資金繰り予定表の2種類があります。

資金繰り表で見るべきポイントは、営業活動の収支が黒字になっているかです。

営業活動収支とは、本業の儲けを表す数値です。

本業の儲けが赤字なら、赤字の補てんと借金の返済で、資金繰りはどんどん苦しくなることになります。

営業収支が赤字になる原因とは?

営業収支が赤字になる原因は、主に次の2つです。

【原因1】経常利益が赤字

経常利益が赤字なら、売上が下がってきているか、売上原価や経費が利益を圧迫しているかになります。

対策は、売上アップ、高利益での販売、コストカットなどで黒字化を目指します。

【原因2】経常運転資金の増大

経常運転資金は

経常運転資金=売掛債権(受取手形+売掛金)+棚卸資産-買入債務(支払手形+買掛金)

で求められます。

この式からもわかるように、運転資金が膨らむ原因は

  1. 売掛金の増大
  2. 棚卸資産が増える
  3. 回収サイトが延びる
  4. 支払サイトが短くなる

です。

このような状態になると、いわゆる「勘定あって銭足らず」の状態を招きます。

仮に売上があっても、売掛金の増大で手元の資金が少なくなり、さらに売掛金回収前に買掛金の支払日が到来するわけですから、下手をすると黒字倒産にもなりかねません。

運転資金に余裕がなければ、資金繰り予定表をチェックして、運転資金が増えそうではないかを監視する必要があります。

【対策2】売掛金の圧縮と回収を早める

売掛金の増大は手元資金の減少を招き、回収サイトの遅れは、それだけ手元資金が少ない状態が続くということです。

なるべくキャッシュでの回収と、売掛で販売した場合も、回収サイトを早めることが資金繰り改善につながります。

わたしも昔、集金業務をしてましたが、金払いの悪い奴は本当に金払いが悪いです。

集金に遅れて行こうものなら、それを口実に支払いを渋ります。

それに掛け売りは、相手方のためにあなたが代わりに借金しているようなもので、さらにご丁寧に、利息の負担までしていることになります。人が良いにもほどがあります。

取引先とはいえ、あなたに借金を肩代わりさせて、なおかつその借金を延び延びに延ばそうとしている客は、これほどタチの悪いものないでしょう。

客じゃなく疫病神といってもいいかもしれません。

売上は減るでしょうが、バッサリ斬ってしまった方が金回りは良くなりますし、何より精神衛生上サッパリします。

売掛金の妥当性を見るには、回収期間を計算してみます。

(受取手形+売掛金+割引手形+割引手形+裏書譲渡手形)÷売上高×356日

この算式から各期を比較して、早くなっているのか長くなっているのか、各期を比較してみましょう。

【対策3】支払サイトを遅くする

回収サイトとは逆に、支払いサイトを遅くすれば、手元にキャッシュが長く滞留するので、資金繰りは良くなります。

ただ、支払いサイトを遅くするのは、取引相手にとっては不利になるので、無理なお願いになってしまいます。

単価アップや発注ロッド数の引き換え条件で、お願いしてみるのも一つの方法です。

買掛金のサイクルを見るには

買入債務回転期間(日)=(支払手形+買掛金)÷売上原価×365日

で求めます。

これも各期を比較して、長くなっているのか短くなっているのかを見ていきます。

資金繰りが良くなるビジネスモデル

余談ですが、資金繰りが良くなるビジネスモデルは「前金ビジネス」です。

整体・エステの回数券、学習塾やスポーツクラブなど、値引きを条件に会費を前金でもらうことができます。

最初にお金が入れば、資金繰りが楽になります。

ただし、サービス完了前にいただくお金は、あくまで「預かったお金」です。

返金保証でもしていようものなら、返金の際に使い込んでお金がないではシャレになりませんので、お金の管理は注意しましょう。

【対策4】売れない在庫の処分

いわずもがなのことですが、不良在庫は何の得にもなりません。

たしかに貸借対照表上では、棚卸資産に計上されますが、結局お金にはならないので、資産には程遠い存在です。

ちなみに、棚卸資産は粉飾しやすい項目で、金融機関もそれをよく心得ていて、極端に在庫が増えていた場合、それを納得できる合理的な説明がないと貸借対照表から除外されてしまいます。

融資の際はお気を付け下さいませ。

不良在庫は金にならない資産であるばかりか、大事なキャッシュも喰い食い潰します。

その理由は

  • 保管のための場所が必要
  • 流行り廃りや品質の劣化によって売れなくなる
  • 紛失・盗難による損失
  • 棚卸や品質管理などさまざまな管理コスト
  • 売り場スペースの占有

などです。

売れないのに資産として税金がかけられ、その上怖ろしくコストがかかります。

それなら、処分品のセールで売ってしまった方が何倍かお得です。

仮に簿価200万の不良在庫を50万で販売したら、たしかに損益計算書上では150万の損です。

しかし帳簿上では150万の損でも、今後の管理コストはかかりませんし、売却損の150万の節税効果で、法人税分34(2017年10月現在の実効税率)%の51万を納税せずに済みます。

売らなければ、管理コストでじゃぶじゃぶ金を喰うけですが、損しても売れば、合計101万円の回収(売却代金50万+法人税分51万)と同じ効果です。

どちらがお得か一目瞭然です。

売れないものを資産だからと後生大事に持っていても1円の得にもなりません。

不良在庫は金喰い虫であることを忘れないで下さい。

【対策5】税金への適切な対処

税金は利益にかけられるものです。

ですから、税金を取られたくなければ、利益を圧縮するしかありません。

そうすると、会社にとって必要な、内部留保がたまりません。

内部留保がたまらなければ、将来の事業に備えた投資もできませんし、仮に事業拡大局面になったとしても、手持ち資金が足りませんので、借金で事業資金を引っ張ってこなくてはいけなくなります。

こうなるとジリ貧です。

まず、投資を行わなければ既存事業は衰退します。

そして、借金で事業資金を賄えば、利息も払わなければなりません。

その借金の利息は、本業の儲けを圧迫します。

借金が借金を呼ぶ、チャリンカーの手前です。

それに、税金のルールを作っているのは国なわけですから、取っぱぐれないように作っています。

そのときは納税を逃れられても、実は課税の時期を遅せるか、税負担を会社から個人に移すかで、最終的に取られる税金は、さほど変わらない構造なのです。

それなら、節税に目がくらんで、大事なキャッシュを減らしてしまっては意味ないでしょう。

会社の血流となるキャッシュが少なくなれば、輸血しないと生きていけなくなります。

節税のし過ぎは、チャリンカーへ一直線です。

【対策6】人件費の生産性を高める

人件費は経費の中でも大きなウェイトを占めます。

では、その人件費に見合うだけの利益を上げられているのでしょうか?

仮に人件費20万で100万売り上げるのと、効率を高めて120万売り上げるのとでは、1.2倍の差が開くわけで、2つの間にはあきらかに生産性の違いがあります。

その差の原因が何のか、客観的な数値を用いて評価します。

もちろん数字がすべてではありませんが、数字にしないと適正な判断はできません。

売上は人から生み出されるものですから、設備投資や仕事の方法を変えて人的生産性を上げないと、利益率はアップしないでしょう。

人件費が効率的かどうか計る数値は

  1. 売上高人件費率
  2. 労働分配率
  3. 人時生産性

の3つがあります。

売上高人件費率

売上を作るのにいくらの人件費が使われたかを表す指標です。

人件費率=人件費÷売上高×100(%)

この数字が少ないほど、効率的に売り上げを作っていることになります。

労働分配率

先ほどの売上高人件費率は、売上を生み出すのに使った人件費の割合でしたが、労働分配率は「粗利益」に対する指標です。

すなわち、「その粗利益を生み出すのにどらくらいの人件費がかかっか?」です。

労働分配率=人件費÷粗利益×100(%)

ただし、この数値には弱点があり、単純に人件費を抑えれば数値上は効率が上がったことになります(売上高人件費率も同じです)。

たとえば、正社員から労働賃金の安いパートに変更したり、サービス残業や賃金カットを行えば、簡単に人件費は下がります。

牛丼チェーンの、アルバイトを使った深夜の一人シフトが思い出されます。

ただ単に、人に負担を押し付けているだけです。

しかしこれでは、本当の意味での効率性は上がったことにはなりません。

そこで「人時生産性」を使って、「時間」を指標に効率性を測ります。

人時生産性

人時生産性は、人件費ではなく時間で「どれくらいの粗利益が生み出されたか?」を見る指標です。

人時生産性(円)=粗利益÷延べ労働時間

時間が基準なので、賃金の高い低いは関係なくなります。

許容人件費

余談ですが、使える人件費をあらかじめ計算しておけば、確実に利益を確保できます。

そこで許容できる人件費を次の計算式で算出します。

許容人件費=粗利益×労働分配率

たとえば、売上が200万で、粗利益50万円、労働分配率30%なら

・50万×30%=15万円

になります。

この場合、200万(粗利益50万)を売り上げるのに使える人件費は15万円ということです。

そして、この15万円を時間給で割れば、必要な延べ時間が求められます。

1500円が平均時間給なら

・15万円÷1500円=100時間

以上の計算から、100時間以内で仕事を片付けて、はじめて目標の利益を達成できることがわかります。

もし100時間以上かかるようであれば、仕事の仕方が、現状の売上と粗利益に見合ってないことになります。

人件費は売上にかかわる大きな分部ですので、ここを改善できるば資金繰りの改善にもつながります。

それには上記の数式を使って、きちんと計測しなくていけません。

算数が苦手なんていっていると、いつまでも資金具は楽にならないのです。

まとめ

黒字倒産という言葉があるように、会社が潰れるかつぶれないかは、赤字か黒字かではありません。

キャッシュが詰まるか詰まらないかで決まります。

赤字でもキャッシュが用意できれば会社は潰れません。

ですから、1円でも多く銀行口座に残るようにしておくことは大切です。

それすなわち、会社の防衛対策です。

お金とは数字であり、その意味で経営者は、数字に強くないとダメでしょう。

経営者が数字が苦手では、勢いのあるときならまだしも、下ったときに会社の弱体化がはじまります。

やはり、数字に強いことも、経営者の資質として必要なのではないでしょうか。

この記事で紹介した数式を、ぜひ使いこなしてください。

資金繰りを良くして、経営強化を図りましょう。

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