チラシ集客に影響する要因を使って、新たに配布するチラシの集客数を予測する方法をご紹介します。

チラシ集客に影響する要因には

  1. 集客価格
  2. チラシ配布枚数
  3. 季節指数
  4. 商圏内競合数

の4つのデータを使います。

この方法は単に集客数を予想するだけでなく、この4つのうち、何が集客数を決める要因になっているのかも(複数あるいは単独)割り出すことができます。

何がチラシの集客数に効いているのかがわかれば、今後のチラシ戦略の大きなヒントになります。

 

 

重回帰分析

集客数を説明するデータが1つの場合は単回帰分析を使います。

しかし今回のように2つ以上ある場合には、「重回帰分析」を使います。

重回帰分析の回帰式は

で表されます。

 

4つの集客要因

それでは、次のような4つのチラシ集客データを用意しました。

  1. 集客価格:目玉となる商品の価格(通常価格6000円→3500円といった感じ)
  2. チラシ配布枚数:その月に投入したチラシの枚数
  3. 季節指数:売上で見る季節の変動を数値化したデータ
  4. 商圏内競合数:商圏内にある競合の店舗数

季節指数の算出方法はこちら
エクセルで「季節指数」を算出して、チラシの反響を予測する方法

※このデータは架空のデータです。分析結果をわかりやすくするため、あえて数値にメリハリを付けています。ですので、ここで分析した結果が、必ずしも実態を示すものでないことを付け加えておきます。

 

相関関係を調べる

最初にデータの要因同士の相関関係を求めます。

「データ」→「データ分析」→「相関」をクリックします。

相関のメニューパレットが開いたら、入力範囲にセルの範囲をドラッグして入れます。

今回は「$B$2:$F$14」。

 

「先頭行をラベルとして使用」と、出力先を「新規ワークシート」にしてOKボタンをおします。

 

各要因と集客数の相関関係が算出されました。

係数は「0.7」以上あり、集客数と各要因は比較的強い相関関係があることがわかります。

収集したデータは、どれも集客数に影響しているといえます。

集客価格がマイナスなのは負の相関関係を示しており、価格を安くするほど人が集まることを表しています。

 

 

多重共線性に注意

ここで注意点が一つあります。

相関係数が「0.9」以上になる場合は、「多重共線性」といって、相関関係が強い同士の要因が分析に悪影響を与えていることを示しています。

要するに多重共線性がある状態の回帰分析を行っても、信頼性のない結果が出てしまうということです。

重回帰分析を行うとき、必ずしもたくさんの要因(説明変数)があればいいというものではないのです。

複数の相関関係の高いデータがあると、1つのことを重複して説明していることになり、重回帰式の信ぴょう性がなくなってしまいます。

仮に店舗の売上を決める要因に、「駅までの距離」と「駅からの徒歩時間」の2つのデータがあった場合、これはある意味同じことを説明しているいのではないでしょうか。

もちろん、データの相関関係を調べてみなくてはいけないですが、「駅までの距離」と「駅からの徒歩時間」は、一般的に考えて同じカテゴリの要因でしょう。

相関係数に「0.9」以上の値がある場合は、一つの要因に絞って分析をするようにします。「駅までの距離」と「駅からの徒歩時間」なら「駅までの距離」というように。

 

重回帰分析で集客数を予測

次に重回帰分析を行います。

「データ」→「データ分析」→「回帰分析」を選んでOKボタンを押します。

 

「入力Y範囲」に「$B$2:$B$14」、「入力X範囲」に「$C$2:$F$14」。

「ラベル」と「新規ワークシート」にチェックをして、OKボタンを押します。

 

別シートに回帰分析の結果が表示されました。

といっても、いきなり数字だらけの表を見せられても、何のこっちゃわからないと思います。

しかしご安心ください。

この分析結果を見る箇所は決まっています。

補正R2:回帰式の当てはまりの良さを0~1で表示します。補正R2が「0.5」ならば、回帰式で実データの半分以上を説明しているといえます。重回帰分析では、この補正R2を見て、使えるか使えないかを判定します。

有意F:有意Fが0に近いほど、回帰式の信頼性は高くなります。具体的には、「0.05(5%)」より小さければ有意な結果と判定できます。

係数:回帰式の係数です。

T値:要因の影響度を示す値です。プラスなら正の相関、マイナスなら負の相関です。T値は大きさを見ます。T値が2より大きい要因は、影響力があると判断します。

P値:各要因の有意Fと考えます。各要因のP値が有意水準を下回っているかどうか見ます。有意水準を5%とする場合、要因のP値が0.05を上回ると、結果を説明する要因としては危険率が高いことを示します。

引用:Excelデータ分析の仕事術より

各数値の見方について、とてもわかりやすい解説動画がありましたのでご紹介しておきます。

この動画を観れば、それぞれの数値が表す意味について、理解が深まると思います。

 

 

この重回帰分析では、補正R2は0.7、有意Fも0.05以下なので、回帰式として使えると判断します。

T値を見ると、「集客価格」と「季節指数」が2を超えています。

集客数に大きく影響しているのは、集客価格と季節指数だとわかります。

この係数で予測値を出すと、重回帰分析の回帰式は

ですので

=-0.008×[集客価格]-0.00003×[チラシ配布枚数]+3.437×[季節指数]-1.623*[商圏内競合店数]+23.979(切片)

となります。

 

予測したいのは

  1. 集客価格:4000円
  2. チラシ配布枚数:25000枚
  3. 季節指数:9%
  4. 商圏内競合店数:5店舗

のときの集客数です。

 

セルへの数式は「=-0.008*C14-0.00003*D14+3.437*E14-1.623*F14+23.979」と入れます。

 

計算の結果、14人と算出されました。

 

 

分析パターンを絞り込む

このように、重回帰式に値を入れると予測値が算出されます。

しかしです。

本当にこの4つの数値を使って出した値が、予測分析に適しているかどうかまだ疑問が残ります。

というのも、重回帰分析は、必ずしもすべての要因(変数)を取り込めば正しい予測ができるとは限らないのです。

逆に、真に効いている要因を絞って使った方が、より精度の高い回帰式となるのです。

これを「変数選択の問題」といいます。

ここでは、より精度の高い回帰式を求めるために、いくつかのパターンで重回帰分析を試みます。

 

パターンは

  1. 集客価格・チラシ配布枚数・季節指数
  2. 集客価格・季節指数・商圏内競合数
  3. 集客価格・季節指数

の3つです。

 

重回帰分析を行う手順は上記で説明した通りです。

ここでは重回帰分析の結果だけ出していきます。

 

3パターンの分析結果

【パターン1】集客価格・チラシ配布枚数・季節指数

補正R2は0.7以上あり、回帰式は使えると判断します。T値も2以上あり良好な数値です。しかし、チラシ配布枚数のP値が0.05以上あり、集客数を説明する項目に適さないことを示しています。

 

【パターン2】集客価格・季節指数・商圏内競合数

補正R2は0.741あり、パターン1より高い値を示しています。集客価格と季節指数のT値は2以上あり良好です。しかし、商圏内競合数のT値が低くP値も0.05以上で集客の要因を説明できない数値です。

 

【パターン3】集客価格・季節指数

補正R2は0.748で一番高い数値です。T値も2以上、P値も0.05以内に収まっています。

 

以上の3つのパターンで重回帰分析を行った結果、集客数を説明する要因として適しているのはパターン3です。

通常、重回帰分析をいくつかのパターンで行う場合は、補正R2の値が最も高いものを選びます。

集客価格・チラシ配布枚数・季節指数・商圏内競合数の4つの説明変数を使ったパターンより、「パターン3」の方が補正R2の値は高いです。

 

パターン3で集客数を予測

では、パターン3で予測値を出してみます。

重回帰式は

y=-0.006×[集客価格]+2.612×[季節変数]+17.8

となります。

 

先ほどの条件と同じで予測値を求めます。

  1. 集客価格:4000円
  2. 季節指数:9%

です。

 

セルに入れる数式は、「=-0.006*C15+2.612*D15+17.8」です。

 

予測値は17人と算出されました。

最初の回帰式モデルと比べると3人の差があることがわります。

 

 

本当に「効いている」要因を解明

予測は予測なので、必ずしもこの通りの数字が出るとはいえません。

しかし、重回帰分析を行うメリットは、「何が本当に効いている要因なのかつかめる」ところです。

今回のモデルケースでいえば、「集客価格」と「季節指数」がチラシの集客数に大きく影響していることがわかりました。※この記事で扱っているデータは架空のデータです。実際に「集客価格」と「季節指数」が影響している要因とはいえないので注意してください。

この要因がわかれば、どういう戦略を組み立てれば、チラシの投資効率を最大限高められるか、具体的に考えることができます。

集客価格をいくらにして、いつの時期に撒けば集客しやすいか、その逆もしかり。

集客価格をいくらにして、いつの時期に撒けば集客に失敗する確率が高いか、それも予測することができます。

今回はチラシでの集客数を重回帰分析で行いましたが、これは売上にも使うことができます。

売上とそれを説明する(であろう)要因を並べだし、重回帰分析を行えば、あなたのお店の売上が何によって決まってきているのかを分析することができるのです。

「だろう」のような目測で予想しても、本当に効いている要因を探し出すことはできません。

 

 

まとめ

何度もいいますが、予測は予測ですので、予測通りの数字が出るとは限りません。

しかし分析を行うことで、集客数でも売上でも、「本当に効いている要因」を割り出すことは可能です。

これって、お店の今後を考える上で、非常に大事なことではないでしょうか。

少なくとも、何ちゃらコンサルタントのいう強みやらUSPやらよりは、よっぽど正確で重要です。

重回帰分析を活用して、チラシの集客効果を高めましょう。

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