売上の変動を計測するのに「季節指数」があります。
季節指数とは、季節による売上の変動を数値化したもので、過去の売上データから算出します。
この季節指数を使い、チラシの「攻め月」と「守り月」を分け、勝てるチラシ集客の戦略に組み込みます。
チラシの反響はタイミング
チラシの反響率は「タイミング」に大きく左右されます。
反響の取れたチラシでも、少しのタイミングのズレだけで外れることもあります。
それくらいシビアなのがチラシ集客ですが、それが顕著なのが閑散期です。
閑散期に撒くチラシはすこぶる反応が悪く、マーケティングやライティングノウハウでは焼け石に水レベルです。
販促の基本は「売りやすい時期(時間)に集中して売る」で、暇なとき頑張っても結果は出ません。
これは集客も同じで、新規集客は繁忙期にこそ力を入れて閑散期は控えた方が、広告の運用は効率的です。
季節指数を指標にする
そこで繁忙期と閑散期を見極めるのに使うのが季節指数です。
季節指数を算出して、売れる月と売れない月を突き止め、チラシの「攻め月」と「守り月」作ります。
チラシは時期による外部要因に大きく左右されるので、攻めるときと攻めないときを分けておくことは重要です。
データは正確性を出すために、3期分の売上データを用意して季節の変動を調べます。
ここで一番やってはいけないのは、「だろう」と感覚で判断することです。
「だいたい2月と8月は暇で、3月、4月、11月、12月が忙しい」などと、あやふやな記憶を辿って決めつけると、大幅にズレた予測をしてしまう破目になります。
分析は必ず数字を見て、客観的に判断するようにしましょう。
データは3期分を用意
それでは、季節指数を算出していきます。
まず、3期分のデータを用意します。
動画解説
動画解説はこちらをご覧ください。テキスト解説は、このままスクロールしてお読みください。
季節指数の算出方法
3期分の月ごとの合計を出す
最初に3期分の月ごとの合計を出します。
合計を出す関数は「SUM」。数式は「=sum(B3:D3)」と入れます。
入力したら、ドラッグしてセル「E15」まで入れます。
各月の3期分の合計が出ました。
各月の平均値を出す
次に各月の平均値を出します。
平均を出す関数は「AVERAGE」。数式は「=AVERAGE(B3:D3)」と入力します。
セル「F3」に入力したら、ドラッグして「F15」まで入れます。
各月と合計の平均値が出ました。
季節指数を求める
最後に各月の季節指数を出します。
各月の季節指数は
で算出します。
ですから、数式は「=F3/$F$15」になります。※「$」は絶対参照の意味です。
入力したらセル「F14」までドラッグして入力します。
合計が100%になっているか確認するため、「SUM」で「F3」から「F14」まで合計します。
季節指数が算出されました。
合計も100%になっています。
季節指数から攻め月と守り月を見極める
この数値から見ると、「攻め月」とわかるのは、10%以上の4月、9月、11月、12月です。
逆に守り月は、1月、2月がとくにで、3月も反応を取るのには厳しい月といえます。
季節指数が何%なら集客が可能か?
ここで問題です。では、季節指数が8%や9%の月はどう考えればよいでしょう?
そこで、回帰分析を使ってどれくらい集客数が見込めるか調べてみます。
季節指数をコピーして新しい表に貼り付けます(表の右側)。
そして表の左側に過去のチラシからの集客数を入力します。
相関係数を求める
2つのデータの相関関係を数値にします。
相関係数を求める関数は「CORREL」で、数式は「=CORREL(B3:B14,C3:C14)」と入力します。
相関係数が「0.77」と出ました。2つのデータには強い相関関係があることがわります。
散布図から回帰式を求める
データを散布図にして、回帰式を求めます。
グラフ化する範囲をドラッグして選択し、「挿入」→「グラフ」→「散布図」を選びます。
次に散布図上のプロットされているデータを右クリックし、「近似曲線の追加」を選びます。
「線形近似」にチェックをし
「グラフに式を表示する」と「グラフにR2乗値を表示する」にチェックを入れます。
回帰式とR2乗値が表示されています。
R2乗は「0.59」ですので、回帰式はデータの59%を説明しています。
回帰式は「0.5」以上で予測に使えるという判断ですので、数値の信頼度はそこそこあります。
集客数から季節指数を求める
次に集客数が「3」人の場合の季節指数を求めます。
数式は
・y=0.0069*x+0.0643
ですので、xの値、3を入れて算出します。
セル「F6」に入れる数式は「=0.0069*F5+0.064」です。
季節指数8%で3人集客が可能
計算の結果、季節指数の予測値は「0.0847」、約「8.5%」と出ました。
つまり、季節指数が8%の月は、集客数が3人見込めるということです。
3人で利益が取れると判断したなら、8%の月も攻めることを考えてもいいでしょう。
大事なのは、3人くらいは集客できると予測できることです。
予測できれば、安心してチラシを撒けますし、売上見込みや損益分岐点も検討がつくわけです。
何の手がかりもなければ、そもそも反響が出るかどうかもあてっずっぽうで、計算の見込みも立ちません。
番外編:季節指数から目標売上額を算出する方法
ついでなので、季節指数を使って売上目標額を算出する方法もお伝えしておきます。
これまで使ったデータ表から、最初に3期分の月の平均売上額を求めます。
平均を求める関数は「AVERAGE」で、数式は「=AVERAGE(F3:F14)」です。
平均値が出ました。
次に販売季節指数を算出します。
販売季節指数とは、1年を通じての平均売上額に対して、その月の平均売上額が何割かを見る指標です。
100%以下なら、平均以下の売上の月、100%以上なら平均値より売上が上がる月になります。
数式は
・月の平均売上額÷年間平均売上額
です。
セル「G3」に「=F3/$F$16」と入力し、オートフィルでG14まで数式を入れます。※$は絶対参照の意
販売季節指数が算出されました。
仮に年間目標売上が1億円だったとします。
1億÷12カ月=833万円
が均等に割った月の目標売上額です。
この833万に各月の販売季節指数を掛けてやると、季節指数を加味した売上額が算出できます。
1月を例にとるなら
・833万×76.5%=637万円
が販売季節変動指数を考慮した目標売上額になります。
セル「H3」に「=($H$16/12)*G3」と数式を入力したら、F14までオートフィルで数式を入れます。
季節指数を加味した各月の目標売上額が求められました。
まとめ
チラシは外部要因に反響を左右されるので、その大きな要因となる季節指数を出して、反響の予想を立てておくことは重要です。
えいやあで勝負して勝ち続けられるほど、チラシは甘くないです。
負ける要素は、1%でも排除しておくことが大事です。
季節指数をチラシ集客に役立てましょう。
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