エクセルを使った新規集客分析法

データ分析必勝法

新規集客には割引が必要です。

「割引で集めるなんて良くない」という人もいらっしゃるでしょうが、事の善悪は別にして、割引(またはプレゼント)がない新規集客は反応率が落ちます。

そこで悩むのが

「どのくらいの割引が最適か?」

です。

割引が少なければ反応が落ちますが、リピート率は上がります。

その反面、割引を大きくすれば反応は上がりますが、リピート率は下がります。

※これはあくまで傾向です。

この程よい着地点はどこか・・・

そこで使いたいのが、集客単価、新規集客数、LTV(ライフタイムバリュー)を使った比較分析です。

数値をエクセルでグラフにして、どの価格が新規集客に最適か?を見極めましょう。

マーケティングの勝率を高める根拠は数字

数値を使ってデータ化というと、「面倒くさい」「数字は苦手」などの返事が返ってきます。

しかし、感覚で物事を判断することほど恐ろしいことはありません。

えいやあで施策が当たり続けることなんてできるのでしょうか?

わたしもそうですが、「だろう」などというものを、施策の根拠に据えても、成功する確率は上がりません。

サイの目が確率で支配されるように、マグレ当たりもいずれ平均値へと均されていきます。

だとしたら、勝つための確率を極限まで高めておくことが、マーケティングという競争の中で生き残る方策といえないでしょうか。

エクセル新規集客分析法。最適な集客価格を割り出す

カウントする数値は、

  • 新規集客単価
  • 集客人数
  • LTV

です。

それを、

  • 新規集客単価と集客人数
  • 新規集客単価とLTV

に分けて2つのグラフを作ります。

では整体院の集客をモデルにデータを作っていきます。チラシを5000枚配布して、その集客結果を想定してみます。

※ここで出す数値はあくまで例です。

新規集客価格

新規集客価格は通常価格5000円から割り引いた価格です。

  • 1回目:4500円
  • 2回目:4000円
  • 3回目:3500円
  • 4回目:3000円
  • 5回目:2500円
LTV(ライフタイムバリュー)

LTVは、リピートしてくれたお客様は、合計で3回通ってくれることを前提に数値を出します(集客費用は入れていません)。

LTV(Life Time Value)とは、日本語では「顧客生涯価値」と訳され、顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益のことです。

  • 1回目:1人リピート 4500円+(5000円×2回)=14500円
  • 2回目:2人リピート (4000円+(5000円×2回))×2人=28000円
  • 3回目:2人リピート (3500円+(5000円×2回))×2人=27000円
  • 4回目:2人リピート (3000円+(5000円×2回))×2人=26000円
  • 5回目:1人リピート 2500円+(5000円×2回)=12500円

基本的な考えは、新規集客価格と新規集客数の推移と、新規集客価格とLTVの推移グラフを作成し、どの集客価格が一番利益を最大化(リピートの最適化)できるかを見ることです。

では、それぞれのグラフを見てください。

1)新規集客価格と新規集客数の推移グラフ

割引率が低いときは集客数が伸びませんが、割引率が高くなるほど集客できた人数が多くなっていることがわかります。

このグラフだけを見れば、2500円で集客するのがベストに思えます。

次に新規集客単価とLTVの推移グラフを見ます。

2)新規集客単価とLTVの推移グラフ

このグラフを見ると、先ほどベストだった2500円の集客価格が、一番利益が出てないことが判明しました。

一番利益を稼ぎ出しているのは、3000円でも3500円でもなく、意外に4000円の集客価格だとわかります。

だとすれば、むやみに値下げして集客しても、大して意味ないということでしょう。

集客数だけで物事を判断してはダメなのです。

さらに全体の売上でみると

ここでは3000円の割引価格が、売上ベースではベストとわかります。

「だろう」では判断を誤ります

いかがでしょう?

集客人数だけを見ていると、経営的には失敗とはっきりわかります。

いわゆる、集客しても儲からない状態です。

現実の数字をつき合わせてみないと、こういう客観的な状況は読めません。

もちろん上記のモデルは、わりやすいように極端な形にしていますので、現実はこのようにはっきりしたケースになるとはいえませんが。

ただ、「だろう」のような感覚で物事を判断していると、いつまでも働く割に儲からないことになるのはたしかです。

売上アップの公式。「シェア」が売上を決める

無料オファーでリピ率8割

余談ですが、集客数を最大にしたいとき、「無料」をオファーにする方法があります。

この方法は諸刃の剣で、集客数は上がりますが、リピート率が極端に悪くなります。いわゆる、クレクレ君が集まってきてしまうからです。

しかしです。

世の中には、無料で集めたお客様の8割を、リピートさせてしまうというスゴ腕治療院さんもいらっしゃいます(リピートというか回数券をご購入いただく)。

一概に無料がダメというわけではないのです。

ただ無料をオファーにする方法は、営業スキルが成否を左右するので、営業が苦手や売り込みに抵抗感を持っていると上手くいかないでしょう。

そういう意味では、集客の段階でリピートされやすい価格を探って、「リピートしやすいお客様」を集められるよう設計しておくことは大事です。

売上アップに効果絶大!「リスト」を活用する方法

割引を大きくしても反響が出ないときは

余談ついでにいいますと、チラシの割引を大きくしても、思ったように反響が出ないことがあります。

この原因は「タイミング」が大きく影響している可能性が高いです。

割引を奮発してもタイミングがズレると、反響が出ないことがこれまでにもありました。

わかりやすい例でいいますと、「閑散期」に撒くチラシは、びっくり価格に設定しても反響が良くなりません。

そういう場合は、閑散期の集客はあきらめて、時期をズラした方が賢い選択です。

1月の閑散期は0だったチラシでも、5月くらいに再度撒いたら、1000分の1まで反響が戻りました(整体チラシ)。

チラシの集客率を最大値にする方法

まとめ

数字が苦手という人は多いですが(わたしも苦手です)、やはり数値化して客観的に見ないと、これから行うべき施策も正しい判断ができません。

「値引きするのはよくないといわれたから」や、「値引きしてもリピートされない」と情緒的な感覚で判断することが、いかにバカげたことか、賢明なあなたならおわかりになるはずです。

数字はウソをつきません。

集客価格、集客人数、LTVを集計して、今後の集客に役立てましょう。

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