国民健康保険料がかなりの負担
国民健康保険料が「高い」と感じている個人事業主の方は、多いのではないでしょうか。
国民健康保険料は、市町村によって保険料が違ってきますので、すべてに当てはまるわけではありませんが、自治体によっては最高限度額は90万円を超えています。
さらにこの上に国民年金保険料も支払わなくていけません。
個人事業主に配偶者(奥様)がいらっしゃる場合は、本人分と合わせて、年間合計390960円になります(16290円×12ヶ月×2人分)。
そうなると、国民健康保険と年金保険料で、約129万円支払わなくてはいけません。
健康保険国民健康保険は義務ですし、「保険税方式」だと徴収も厳しいので、支払いを免れることはできません。
しかし、この高い保険料、「何とか安くならないのか?」これがあなたの本音ではないでしょうか?
これで国民健康保険料を一気に削減
実は、個人事業主の国民健康保険料を削減することはできます。
その方法は、「法人を設立する」ことです。
法人を作ることで国民健康保険料を一気に削減することができます。
この方法は特に珍しいものではなく、知っている人は知っている方法です。
社会保険労務士や税理士などの士業の先生が、自身の仕事の一部を法人化し、節税や社会保険の削減を行ったりしています。
その外にも、農業や飲食業といった個人事業主も、この方法を活用しています。
ですから、「違法になるのでは?」といった心配は無用です。
【朗報】国民健康保険料を削減する方法
国民健康保険料を削減するには、「法人を設立する」のが最も削減効果の大きい方法です。
この方法を簡単に説明すると、まず、国民健康保険に加入している個人事業主が、事業の一部を法人化します。
すると、社会保険(健康保険・厚生年金)に強制加入となります。
必然的に、国民健康保険からは脱退します。
要は、国民健康保険から、社会保険に切り替わるのです。
保険料が、二重に掛かることはありません。
いわば、日本の保険制度を知り尽くした上で、上手に活用する方法です。
ただし、個人事業から「法人成り」すればいいというものではありませんし、給料の設定の仕方によっても削減効果は違いますので注意が必要です。
肝を抑えたスキームでなければ、法人を設立しても社会保険料は高いまま、そして法人運営コストで、スキーム実行後、負担が増えたでは無駄足どころかとんでもない損失になります。
その根拠とは?
社会保険に加入すると、国民健康保険から脱退することについての根拠をご説明します。
健康保険に加入する人は、自動的に厚生年金とセットで加入になります。
そして、厚生年金保険に加入している人は、厚生年金保険の制度を通じて国民年金に加入することになります。
厚生年金は2層構造になっていて、1階部分は国民年金部分、2階部分が厚生年金になっています。
なので、国民年金の保険料は、厚生年金を通じて自動徴収されることになります。
つまり、厚生年金と国民年金の保険料を同時に支払うことは、制度上もあり得ないわけです。
それは、国民年金保険料をダブって支払っていることになるからです。
ですから、法人を設立して健康保険に加入すれば、国民健康保険は脱退することは至極当然で、制度上も問題ないわけです(手続きは必要)。
要するに、制度が「そうなっている」という話です。
専業主婦なら第3号被保険者に移動で保険料削減
もし現状が、夫が個人事業主、妻が専業主婦の場合、妻も国民健康保険・国民年金に加入していることになります。
それをこのスキームで、夫が法人を設立した場合、夫は社会保険に移行し、妻はその扶養となり、第三号被保険者へと移行することになります。
その際、社会保険料の算定基準となる標準報酬月額の等級は、問われることはありません(年金事務所で確認しました)。
つまり、等級が低くても、妻の収入が以下の条件なら、第3号被保険者になることができます。
・年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入※180万円未満)かつ
・同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
・別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
第3号被保険者は、第2号被保険者の扶養なので、社会保険料は発生しません。※2017年9月現在。第3号被保険者の是非は議論になっていますが、今のところ具体的な対策案は出ていないです。
条件は限られますが、このスキーム実行後は、配偶者の国民健康保険料と国民年金保険料も削減することができます(未払いではなく、被保険者の項目が移動という意味です)。
・健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き(日本年金機構HP)
この方法が使える個人事業主
- 第一次産業(農業、畜産業等)
- サービス業(理美容業、飲食業、旅館、クリーニング店等)
- 法務業(弁護士、税理士、社労士等)
具体的には
- 美容院
- 理容院
- エステ・ネイルサロン
- アパレスショップ
- 飲食店
- 建築業
- 士業・保険代理店・コンサルタント
- 整骨・接骨・整体院、マッサージ店
- クリーニング店
- 薬局
- 学習塾
- コンビニ
- ホームページ制作業
- フリーライター …などなど、
個人事業の経費を見直せば国保保険料が安くなる可能性も
法人設立の前に、事業分の経費を、まだ落とせるものがないか見直してみるのも方法です。
国民健康保険の計算方法は、売上から仕入れと経費を引いたもので所得金額を出します。
・売上-(仕入れ+経費)=所得金額
この所得金額から33万円の基礎控除を引いて、国民健康保険料の対象となる基準額を求めます。
・所得金額-33万円=基準額
ということは、経費で落とせる金額が多くなれば、それだけ国民健康保険の基準額を減らすことができます。
ですから、個人事業の経費で落ちるものがないか、もう一度見直すことで国民健康保険料が安くなる可能性があります。
現在は個人で支出している費用も、実は事業分として落とせるものが含まれているかもしれないので、まず経費の見直しをしてみましょう。
国民健康保険削減方法の注意点
「法人を設立する」といっても、ただ法人を設立すればいいというものではありません。
いわゆる「法人成り」ではないです。
法人を設立するだけでは、国民健康保険から社会保険に切り替わるだけで、保険料が安くなるわけではないのです。
また、従業員さんがいる場合は、社会保険への加入義務も生じますので、役員と従業員分を合わせて、さらなる負担増となるケースもあります。
ですから、単純に法人を設立すれば国民健康保険が安くなると考えるのは危険です。
法人に業務委託する場合は税務署からの突っ込みに備える必要がある
そしてもう一つネックとなるのが税務署です。
業種が異なるような事業を二つに分けるのであれば、突っ込まれても反論はできますが、本業の業務を強引に2つに分けて業務委託にする場合は注意が必要です。
とくに最近では、業務委託契約は税務調査で必ずチェックの入る項目になっています。
本来であれば1つの会社内で済むことを、わざわざ2つに分けて仕事を依頼するわけですから、「法人を利用して税逃れしているのでは?」と疑われるのもやむを得ません。
仕事を外注化すれば、消費税の課税取引になり、消費税の節税対策になります。
※消費税は課税事業者と免税事業の2つがあります。免税事業者は基準期間の売上が1000万円以下の事業者です(1000万円以下でも例外有り)。免税事業者に該当する場合は消費税の納税義務はありません。
さらに給与の源泉所得税も発生しませんので、事業主にとっては何かと都合が良い方法です。
それだけに税務署も厳しくチェックしているのです。
ですから会社を分割して業務委託契約をするのなら、どう突っ込まれてもいいように、理論武装と証拠書類、それに沿った(契約書に沿った)運用実態が必要になります。
業務委託先としての条件
まず業務委託契約をするのであれば、実態として外注先に仕事を依頼していると同じ状態でなくてはいけません。
消費税通達1-1-1には個人事業者と給与所得者の違いを次のように定められています。
(個人事業者と給与所得者の区分)
1-1-1 事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。したがって、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するが、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払の給与であるか請負による報酬であるかの区分については、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうかによるのであるから留意する。この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。
引用元:第1節 個人事業者の納税義務
簡単にいいますと
- 外注先は会社の指揮監督を受けない
- 必要な材料や用具を外注先で負担している
- 外注先は自分でその業務を行わなくてもいい(下請けに流せる)
- 引き渡し前の成果物が不可抗力により滅失した場合は、外注先は報酬を求めない。
- 外注先が報酬を計算して、発注先の会社に請求できる
ということが守られてなくてはいけないのです。
何だかむずかしく聞こえますが、外注先とは完全に独立した事業主ですので、普通の外注先なら上記条件は満たしてますよねという話です。
外注先としての実態を満たした上で、理論武装及び証拠書類が必要になります。
証拠書類は絶対必要
まず外注先の法人と契約書を交わした上で、毎月業務を委託している証拠も必要です。
さらに受注側となる法人は、作業の管理表や日報など、契約書に定めた業務を、きちんと履行したことを証明しなくてはいけません。
同一人物がオーナーなわけですから、何かとお手盛りを疑われます。
通常の第三者との業務委託以上に、慎重に証拠書類を残しておかなくはいけないのです。
ただ単に、業務委託契約書がある、請求書や領収書があるだけでは、否認される可能性が高くなります。
想定問答集を作っておく
そして、何を突っ込まれてもいいように、想定問答集を作っておきましょう。
繰り返しますが、通常は個人事業の中で行えばいい業務を、わざわざ法人を設立して委託しているのです。
なぜそんないちいち面倒なことをしているのか?普通に考えて突っ込みが入ります。
だから、質問されそうなことを想定して、事前にその回答を考えておくことが大事なのです。
質問に答えられないでは、否認されてもおかしくありません。
具体的には
- 何を委託しているか?
- 業務の報酬額はいくらか?
- その報酬額の妥当性の根拠は?
- なぜ、会社を設立して委託しているのか?
- 委託先は、なぜその法人でなくてはいけないのか?
といった質問に対する答えを用意しておかなくてはいけません。
とくに報酬の正当性をきちんと証明しましょう。
計算根拠のない報酬額では税務署が認めてくれるわけがありません。
では何をもって報酬の正当性を訴えるかというと、「第三者に依頼した場合いくらかかるのか」です。
依頼する業務を細かく区分けし、それぞれの業務について、第三者に依頼した場合支払うであろう金額を計算し、その根拠を持って契約書を作成しなくてはいけないのです。
報酬額を含めて根拠を持って答えられるのであれば、業務委託の正当性を訴えることができます。
何だか面倒くさいなと思ったあなた。
お金を残すには面倒くさい作業が付きものなのです。
法人設立で得られる11のメリット
国民健康保険料は何とかしたい、しかし法人を作るとなると、ランニングコストや手間も掛かるわけですし、「バカ高い国民健康保険料は何とかしたいけど、法人を作るのまではちょっと・・・」と、二の足を踏んでしまう人もいると思います。
そこで、国民健康保険料削減プログラムを実行するために、個人事業主が法人を設立した場合のメリットをあげていきたいと思います。
個人事業主のままで国民健康保険を払い続ける場合と、法人を作ってメリットの恩恵を受ける場合とで、どちらがお得かの比較材料にしていただければと思います。
ただし、ここで上げるメリットは、あくまで、国民健康保険削減プログラム実行のために法人を設立した場合のメリットです。
通常の法人成りとは若干異なりますので、その点はあらかじめご了承下さい(信用が得られやすい、資金が集めやすいなどのメリットはありません)。
1・国民健康保険料を最大で85万円安くできる
現在国民健康保険の上限は93万円です。
しかし、このスキーム導入後は年間約8万円の負担まで減らせます。
その差額は85万円です。
2・ 国民年金保険料も最大19万円安くなる
個人事業主に配偶者がいる場合は国民年金保険料の年間合計395760円(毎月16490円×12ヶ月×2人分)です。
それが、このスキーム導入後は、年間約193248円になります。
その差額は202512円。
これだけの保険料を削減できます。
3・給付内容がグレードアップする
社会保険に切り替わることで、「国民健康保険」も、「国民年金」もその給付内容が少しグレードアップします。
保険料はぐんと下がったのに、給付内容がアップする、まさにお得なスキームです。
4・給与所得控除を受け97500円の節税ができる
自営業者の場合は、売上金額から必要経費を差し引いたものが税金の対象になります。
青色申告を選択していると、さらにそこから65万円の控除することができます。
法人を設立すると、法人から給与をもらい、その給与から給与所得控除を受けることができます。
給与所得控除とは、給与所得者の「必要経費」的な意味合いを持つ控除額です。
個人事業主は光熱費などの必要経費が認められていますが、給与所得者にはそのような必要経費は認められていません。
その代わりに、「みなし経費」として、給与所得控除が認められているのです。
※みなし経費とは、実際に使われているかいないかにかかわらず、認められる経費です。
引いてもらえる控除額は、給与の額によって決まります。
※平成29年4月1日の額
上の一覧表からもわかるように、給与を180万円以下に設定した場合でも、控除額は給与収入の40%か、65万円以下なら65万円、最低でも控除されることがわかります。
この控除枠の65万円を利用することができます。
その結果として、97500円(65万円×15%(所得税5%+住民税10%))の節税をすることができます。
5・「非常勤役員」でキャッシュアウトを削減できる
配偶者を非常勤役員にして、報酬を年間103万円以下に設定します。
※年1回のような支払方をする場合は、「事前確定給与届出」をしておかないと、役員報酬を損金に算入できませんので、注意が必要です。
すると、「社会保険料」と「税金」も掛からず、その分だけキャッシュアウトを抑えられます。
被扶養者の範囲は、社会保険料は被扶養者の年収が130万以下(60歳以下の場合)、税金は被扶養者の年収が103万以下で対象になります。
夫婦2人で合わせれば、節税効果も大きくなります。
ただし、社会保険の場合、非常勤役員にするには、名目だけではいけません。
本当に業務が非常勤役員のものか、実態で見られます。
その基準は
- 会社の経営にどれくらい関わっているか
- 役員として業務執行権はあるか
- 役員会議に出席しているか
- 会社への出社日数
- 報酬額は他の常勤取締役と比べて妥当か
といったことです。
万が一否認されないためには、年金事務種で確認することをおススメします。
よくインターネット上で見受けられる、「労働時間が通常の労働者の概ね4分の3以上(週40時間なら30時間以上)」という基準は、従業員に当てはまる基準で、役員には当てはまらないとのことなので(年金事務所で確認)、気をつけましょう。
6・赤字の繰越期間を最長10年間にできる
その年の所得がマイナスの場合、その金額を翌年以降繰り越して控除することができます。
その期間が、個人事業主と法人では違います。
個人事業主の赤字の繰越期間は、最長3年間です。
それに対し法人は、10年間になります。
期間内に控除できなかった金額は切り捨てになりますので、長いとお得になります。
なお、欠損金の繰越控除を受けるには、欠損金が生じた事業年度以降も、連続して確定申告書を提出しなくてはいけません。
7・消費税を節税できる
国民健康保険削減プログラムは、個人事業の一部を分離して法人を設立することで実現します。
ということは、法人に移管した売上によって、個人事業の消費税課税売上高も減少します。
つまり、売上の移管後に課税売上高が1000万円以下になれば、非課税事業に該当することになります。
消費税は、消費者から預かったお金(消費税)を、事業者が代わって、申告して納める税金です。
したがって、個人事業主と法人とでも、大きな違いはありません。
ただし、小規模で事業を行うものへの配慮により、個人事業主、会社を問わず、一定規模以下の小規模事業者については、消費税の納税義務が免除されています。
それが、基準期間の課税売上高が1000万以下であることです(資本金1000万以上の会社は免税事業になれません)。
基準期間は、個人事業主の場合は前々年、法人の場合は、その事業年度の前々事業年度、または、その事業開始の日の2年前の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた機関です。
小難しいことをごちゃごちゃ並べましたが、要は、個人事業で1000万以上の売上があった場合、個人事業の一部設立で売上が、
- 個人事業部分:700万円
- 法人部分:300万円
となれば、消費全の免税事業者になるということです。
消費税は、法人税とは違って、赤字でも納めなくてはいけない税金で、かつ、2019年からは10%に引き上げられる予定です。
このことを考えると免税事業者になれるということは、資金繰り面からも大きなメリットです。
8・役員社宅で節税できる
法人を設立すれば、「借上げ社宅制度」を使うことができます。
借上げ社宅制度とは、一般賃貸物件を不動産業者から会社が借り入れて、その借り入れた賃貸物件を社員に貸し出す制度です。
もちろん、役員である社長に適用しても問題ありません。
「借上げ社宅制度」を利用すれば、たとえば、家賃の70%を経費化することができます。
この場合、自己負担は残り30%です。
家賃10万円なら、年間84万円(7万円×12ヶ月)を経費として計上できます。
自分で家賃を支払うよりも、安い金額で賃貸物件に住むことができます。
この「借上げ社宅」制度に似たものに、「住宅手当」があります。
「住宅手当」は、家賃の一部や全部を手当として支給することです。
一見同じように思える制度ですが、「住宅手当」は、給与としてカウントされてしまいます。
給与としてみなされれば、税金と社会保険料もかかります。
それが「借上げ社宅制度」だと、給与とカウントされないので、税金は非課税、社会保険料は最小の負担で済んでしまうのです。
そしてなおかつ、会社が負担した家賃部分は、経費として計上できます。
これは、個人事業主で得られない特典です。
9・旅費規程で手取り収入を増やせる
個人事業主の場合は、出張費(交通費・宿泊費)については実費精算になります。
それに対し法人は、「旅費規程」を作ることで、交通費・宿泊費のほかに、「出張手当」を支給することができます。
出張旅費規程とは、会社の出張旅費の取り扱いに関して決めたルールのことで、「交通費」「宿泊費」「出張手当」のことをいいます。
所得税法
法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいう
出張旅費規程を作ることで得られるメリットを上げると次の通りです。
- 出張手当が給与扱いされない
- 所得税・住民税の対象にならない
- 社会保険料の報酬に該当しない
- 出張旅費・宿泊費・日当は、消費税の課税仕入れの対象になる
メリッとにもあるように、出張手当は、非課税で受取ることができます。
たとえば、社長の出張手当が1万円、年間の出張回数が100回なら、100万円を非課税で社長が受け取ることができるということです。
もし、役員報酬で100万円受取ろうと思えば、「社会保険料」と「税金」を負担しなくてはいけません。
法人を設立して、出張に関する取り決めを行うことで、このような節税も可能になります。
個人事業主では得られないメリットです。
10・退職金を支給して節税できる
退職金を自分に用意することができます。
さらに、支給した退職金には、税制上の特典があります。
退職金には、他にはない税金面での優遇措置が3つあります。
個人への課税が強化される中で、唯一といっていい優遇措置です。
1つ目、勤続年数に応じて、非課税枠がある。
800万+70万×(30年-20年)=1500万円
の非課税枠です。
この非課税枠は大きく、個人の所得でここまで大きな枠は他にありません。
2つ目、分離課税される
退職所得は、ほかの所得と分離して課税されます。
分離して課税されるので、通常とは別枠で控除があります。
たとえば、2000万の退職金なら約280万円の控除があります。
簡単に280万といいますが、役員報酬で280万もらうには、いったいいくらの税引き前の報酬が必要だと思いますか?
税率50%なら560万です。
分離課税されるメリットがどれだけ大きいかおもうおわかりですね。
3つ目は、2分の1課税
分離課税で別枠で控除、そてし勤続年数に応じて控除と、最大限非課税部分を最大化した挙げく、さらに課税となる金額を2分の1まで減らしてくれるのです。
散々あなたから搾取してきた国が、最後にそのご褒美として、税金を最大限かからないようにしてくるのが、退職金なのです。
生涯手取り収入を多くしたければ、絶対に使わないといけないのが退職金です。
また退職金は、家族を役員にすれば、その人に退職金を支給することができます。
退職金を受取った本人は、税制上の特典を受けることができるのはもちろんのこと、法人側も、支給した退職金を経費計上できます(適正範囲なら)。
11・生命保険に加入して節税できる
個人事業主が保険に加入している場合は、「国税(所得税・消費税)」「地方税(住民税・事業税)」と「社会保険料」を支払った後の、手取り収入から保険料を払うことになります。
さらに、個人で生命保険に加入すれば、生命保険料控除はありますが、「生命保険料」「介護保険料」「個人年金保険料」のそれぞれ最高4万円(合計12万円)しかありません。
それを超える部分は全額自己負担です
その一方、法人の場合、原則として掛け捨て保険は法人名義で加入すると、経費計上できます。※
これがいったいどういうことかというと、
- 保険料の分だけ法人の節税ができる
- これまでの保険料負担がなくなり、個人の手取りが増える
というダブルのメリットを得ることができるのです。
※保険の種類によっては、経費に計上できないものもあります。
法人を設立する場合のデメリット
国民健康保険料削減プログラム用に法人を設立すると8個もメリットがあるわけですが、当然ながらいいことばかりではありません。
デメリットも存在します。
いいことばかり述べてもフェアではありませんので、法人を設立した場合のデメリットもお伝えしておきます。
デメリット1・会社設立に費用が発生する
法人を設立する場合には、費用が発生します。
株式会社で約20万円。
合同会社で6万円です。
司法書士などの専門家に法人設立の手続きを依頼すれば、報酬手数料がかかります。
デメリット2・赤字であっても住民税が発生する
個人の場合は、赤字なら税金は0です。
しかし、法人の場合は、黒字でも赤字でも、住民税(均等割り)を支払わなくてはいけません。
その額は、最低7万円です。
つまり、毎年7万円はランニングコストが発生します。
デメリット3・税理士報酬が発生する
個人事業主であれば、自分で確定申告することもできます。
今は「free」のような手軽なソフトもあります。
法人設立後は記帳管理も追加されるので、自分ですべて行うのは無理が生じます。
そこで、専門家の税理士先生に依頼することになるので、その報酬が毎年発生します。
国民健康保険の脱退手続き
国民健康保険の脱退手続きは各市町村役場で行います。
手続きのときには以下のものを用意してください。
① 加入した社会保険の保険証(扶養家族分も全て)
② 国民健康保険の保険証(切り替えた方全員分)
③ 本人確認のできるもの(運転免許証など)
なお、会社設立の後に行なう社会保険加入手続きにより、①の新しい保険証が手元に届くのは、手続きから約2週間後です。
国民健康保険と社会保険の違い
国民健康保険を削減する方法のQ&A
Q・将来の年金はどうなりますか?
A・年金は国民年金から厚生年金に移行しますので、増えます。
国民年金保険料は、1階部分の「国民基礎年金」の保険料です。
それに対し厚生年金は、「国民基礎年金」部分と「厚生年金」部分の2階建てになっています。
したがって、「厚生年金」部分の保険料の分だけ、もらえる年金は増えることになります。
Q・妻の国民年金はどうなりますか?
A・奥様が現在、第一号被保険者で、年収が130万以下の場合、夫の社会保険の扶養に入ることになります。
その際、夫の健康保険・厚生年金の保険料を決める等級は関係ありません。
一番下の等級であっても、妻の年収条件が合えば、妻を扶養にすることができます。
妻の健康保険は、夫の被扶養者として被保険者のときと同様のサービスが受けられます。
また、保険料納付義務はなくても国民年金の第3号被保険者に該当し、扶養に入っている期間が将来の老齢基礎年金の計算に含まれます。
夫の扶養に入るためには、妻の年収が130万未満でも、次の場合は対象外です。
夫と同居の場合
妻の収入が夫の年収の半分以下であること。
仮に妻の年収が100万円の場合、夫の年収は200万円以上ないと扶養に入れない。
夫と別居の場合
妻の年収が、夫からの仕送り額より少ないこと。
たとえば、妻の年収が100万円で、夫からの年間の仕送り額が90万円だと扶養に入れない。
Q・個人事業主が法人を設立して社会保険に加入するのは法律に触れませんか?
A・触れません。
日本の社会保険制度は、国民健康保険、健康保険、共済組合の3つに分かれていて、必ずどれかの保険に加入することになります。
- 自営業者、主婦、大学生、フリーター、無職などは国民健康保険
- 会社員は健康保険
- 公務員は共済組合
になります。
保険への加入は一つで、2つ同時加入はできません。
個人事業主が法人を設立すると、健康保険に加入することになり、国民健康保険を脱退することになります。
つまり、制度上「そうしないといけない」ということです。
まとめ
個人事業主が国民健康保険料を削減するには、法人を設立するのが、最も効果が大きいです。
法人を設立すれば、設立費用のほかに、運営費用もかかるので、金銭的リスクなしとはいきませんが、毎年50万以上保険料の支払いがあるのなら、検討の余地は十分あります。
法人を設立するのが無理というのであれば、これまで通り、国民健康保険に加入して高い保険料を支払うか、おまけで紹介した方法で、少しずつ節約するしかないでしょう。
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